梅雨空も華やぐ 色とりどりのパノラマ 服部農園あじさい屋敷【茂原市】

 茂原市三ヶ谷の服部農園あじさい屋敷は、2万7000㎡の敷地を擁し、山の斜面に広がる1万8000㎡に250品種、1万株以上ものあじさいが優美に咲き誇る。地域の風物詩ともなり、毎年多くの人々を惹きつけている。

イチゴ農家からあじさい屋敷へ

 あじさい屋敷の始まりは30年程前。先代の服部喜美雄さんが還暦を迎えた時、「荒れている裏山がしのびない」と、あじさいを植え始めたことがきっかけだ。このあじさいは、当時イチゴ専業農家だった喜美雄さんがビニールハウスで挿し木をしたもの。3年程して屋敷を無料で開放すると、沢山の人が訪れるようになり、有名雑誌にも喜美雄さんが取り上げられた。
『はとバス』の観光コースにあじさい屋敷が組み入れられると、他の旅行会社も同様にコースを設定するようになった。トイレや駐車場を設営し、この時期に入園を有料化した。テレビも取材に訪れ、訪問客は益々増加。屋敷前の道路が渋滞するほどとなり、その頃にはイチゴ農家との両立が難しくなっていた。
 喜美雄さんの長男で、現在、代表を務める喜代志さんは、大学の農学部で学び、「イチゴを一生の仕事に」と思っていた。それ故にイチゴ栽培をすべて止め、ビニールハウスを潰して駐車場を拡張したのは、苦渋の決断だったという。それでもあじさいを選んだ理由は、「花が目に飛び込んできた瞬間の、お客様のわぁーという歓声が何にも代えがたい」からだと、喜代志さんは話す。
 あじさいは土壌が酸性だと青、アルカリ性だと赤が濃くなる。日本の山のほとんどは弱酸性の土壌なので、手入れをしないと花の色は水色に変わってしまう。そのため服部農園では赤系の花を多くするよう、肥料でコントロールしている。一言に手入れと言っても、広大な敷地に1万株の規模では苦労は尋常ではない。消毒や枝切り、花の剪定など、斜面での重労働が通年続くため、20名ほどのパートのスタッフも交代で作業している。イチゴ栽培で培った知識と技術も、多く生かされているとのことだ。

コミュニケーションを大切に

 喜代志さんが最も大切にしていることは、「お客様とのコミュニケーション」だ。接客の係員にも、笑顔と挨拶は欠かさぬよう、日頃から話をしている。花を見るだけでなく、会話でも楽しい時を過して欲しいという思いからだ。毎年訪れるリピーターも数多く、中には亡き家族との思い出の場所として、写真や位牌を持ってくる人もいる。そういう人たちが「思い出話をしていってくれることがうれしい」と、喜代志さんは話す。また最近ではインターネットにより、海外からの来訪者も増えた。自転車旅で立ち寄る人や、タクシーで来る人もいて、そういった外国人客にも積極的に話しかけるようにしている。
 園内の数ある品種の中で1番見て欲しいものは、『パリジェンヌ』だという(タイトル写真)。赤色のあじさいで、見頃は6月中旬から下旬だ。「うちのクイーンです。珍しい品種を見て、非日常を味わってほしいと思います」とのこと。とは言え、園内でのお勧めの鑑賞方法は、「何も考えないで歩いてください」と、喜代志さん。「1鉢1鉢ではなく、景観を楽しんでいただきたい。あじさいで錦織りなす景観を目指しています」と、あじさいへの尽きない思いを語る。そのおもてなし精神は、売店でも発揮される。「せっかく来ていただいた方に、農家の目で見て素晴らしいものを提供したい」と、千葉近郊で獲れる野菜や果物を格安で販売している。
 家庭でのあじさいの育て方のコツを伺った。「花の剪定は、まだ惜しいという早めのタイミングですることが大切です。緑色の新茎を残して切り落としてください。鉢植えのあじさいを地植えする場合は、油かすと鶏糞を与えると良いです」。さらに、「乾燥させないよう十分な水分を与えることがポイント」だということだ。
 今シーズンも、服部農園のスタッフが丹精を込めたあじさいが咲きそろい、多くの来園者の目を楽しませている。

 

問合せ:服部農園あじさい屋敷
TEL.0475・24・8511
開園日:6月1日~7月上旬(期間中無休) 
開園時間:8~18時
入園料:大人500円 小人200円 団体(10名以上)400円

●入園券を10組20名にプレゼント!
 郵便番号・住所・氏名・電話番号を明記し、はがき、FAX、メールにて申込 〆切6/19必着
宛先:〒290の0056
市原市五井4874の1シティライフ編集室・あじさい屋敷入園券係 
FAX0436・21・9142
mail: kiji@cl-shop.com 
・当選発表は入園券の発送をもってかえさせていただきます。

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