平和の尊さを伝える 飯沼で戦没者慰霊式【市原市】

 9月22日、市内飯沼の曹洞宗・龍昌寺で戦没者慰霊式が行われた。今年は太平洋戦争の終戦から75年。戦争の実体験を語り伝える人々が少なくなるなか、寺の檀家役員と松原住職が「戦争の惨禍をこのまま風化させてはならない」との想いで主催。檀家、飯沼町会の各世帯に参列を呼びかけ、追悼法要を営んだ。
 檀家総代代表・齋藤さんは「市原市では太平洋戦争に従軍した人たちを中心に、各小学校区ごとに忠霊塔を建て、それぞれの地区で慰霊祭が行われてきました。近年は従軍した人の多くが亡くなり、慰霊祭も開催されず、忠霊塔そのものも消滅してしまった地区もあるようです。龍昌寺脇には日露戦争、太平洋戦争の戦没者墓地があり、戦争で多くの犠牲があったこと、それが今の日本の平和の礎になったことを、慰霊祭によって地域で伝える機会にしたいと考えました」と話す。
 当日は天気に恵まれたこともあり、感染拡大防止のため1世帯2名までと制限をしたが、中学生から80代までと多くの住民が参列。厳かに黙祷、読経、焼香を行い、最後に戦没者の墓碑に多くの線香を手向けた。式典の追悼の言葉のなかで齋藤さんは「郷土史を研究していた濱田和夫氏の著書『飯沼あれこれ』にも飯沼の戦争記録が掲載されており、今回、戦没者ご家族への聞き取り調査も踏まえ、加筆修正しました」と日露戦争・太平洋戦争の戦没者と従軍者の一覧について報告。飯沼では太平洋戦争で35名が従軍、うち10名が戦死したという。「世の中の変化の激しい時代でも私たちは平和の尊さ、戦争の理不尽さを語り継がねばならないと思います」と哀悼の意とともに語った。

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