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人との信頼感が未来を築くことを常に忘れない 日成建装株式会社 成田 朋己誠 さん【市原市】
- 2021/4/23
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市原市五井で日成建装株式会社を営む成田朋己誠(ともまさ)さん。会社の主力となる塗装業の他にモルタルアート協会理事を務めたり、近年のコロナ禍では市内の保育園や飲食店などを中心に無償で抗菌作用を施せる光触媒コーティングを行ったりと様々な活動をしている。光触媒コーティングとは、専用のコーティング液を壁に噴霧することで太陽や蛍光灯の光によりウィルスや細菌を分解し、空気を浄化する方法のこと。市内でもコロナ罹患者は増加しており、それによる経営不振に陥る飲食店や子どもたちの身を守るために、成田さんはじっとしていられなかった。「私がここまでやってこられたのも、社員と地域の皆様の支援や協力があってこそ。今こそ力になりたいと思いました。そしてこれからも思いは変わりません」と熱く語る成田さんの素顔を覗いてみた。
旺盛な独立心
青森県弘前市出身の成田さんは18歳で上京。祖父が左官の親方で、周囲から厚い信頼を得ていたことから元々塗装業に興味はあった。そして、父親が出稼ぎのため千葉県に来たり、会社を興したりしていたこともあり、高校卒業後は自身も千葉で就職した。就職先は大手ゼネコンの下請け建築塗装会社で、寮に入った。「職人の世界は縦社会。今でこそ先輩たちは愛情で厳しく育ててくれたと感謝していますが、当時は辛かったですね。まず、私の津軽弁の方言が強く、言葉がうまく伝えられない。それに先輩の分の洗濯や掃除など雑用すべてを受けおい、24時間気が抜けなかった」と、振り返る。仕事に慣れ、友達ができるようになるまで2~3年かかった。「青森に帰ろうかと思うこともあったけど、恥ずかしさというか、やっぱり意地ですね」と、頑張っているうちに馴染んでいたとか。しかし、順調だと思えた頃にバブル崩壊の影響が押し寄せ、成田さんの勤務していた会社が倒産。「父が左官業の会社を興していたこともあり、私もそのタイミングで独立しました。当時23歳、結婚して子供も生まれたばかりで必死でしたが、今も当時からの仲間が一緒に働いてくれていることが嬉しいです」と、頬を緩めた。
祖父と父の教えは、『大切なのは社員を大切にすること。自分の懐は次にせよ』というもの。実際に自分が職人だったからこそ、彼らの気持ちはよく分かる。成田さんは、「私は寡黙で口下手と言われるタイプなので、目立つことも苦手。でも、若手社員も含めて会社でバーベキューをしたり、まずは自分を開示しつつ話しかけたりすると、自然と年齢問わず仲良くなれますね」と分析した。なにより仕事が大事。イコール、社員が大事。その想いが自然と伝わっているのかもしれない。だからこそ、多くのエネルギーは仕事で消費しており、休日は家でのんびり過ごすことが多い。「息子と娘も独立しましたし、お酒も飲まないんです。不思議ですけど、仕事はエネルギーを消費する場であり、栄養をもらっている場なんだと思います」と、楽しそうだ。
興味を持つと全力で
成田さんのもう一つの顔、モルタルアート協会理事もご紹介。モルタルアートとは、発泡スチロールの上にセメントを施し、自然石やレンガ、枕木や大理石などの質感や見た目をリアルに表現する彫刻技法のこと。市原市五井にあるショールームに並べられた作品は、まさに木材や大理石にしか見えない。遠くからではなく近くで見ても、だ。「職人として技術の向上を目指すのは当然のこと。色んな経験や関係性が仕事に繋がることも嬉しいですね」と、話す成田さん。自分の思いついた格言や好きな言葉を彫って鏝字(こてじ)を制作して、プレゼントすることも。また、土日を使って、ショールームではモルタルアート教室を開催することもあり、「お子さん連れや年配のご夫婦が、楽しまれている」という。コロナ禍前には旅行で城巡りを好み、石垣の造りを見ていた。また、普段から木の幹の腐り方など、些細なことも観察。小さな発見も、モルタルアートでの表現力に生かされていることだろう。そんな成田さんの今の趣味が、『ヘラクレスオオカブト』の育成だ。昨年の夏に友人からもらったことがきっかけで火が付いた。「国産のカブトムシと合わせると200匹はいるかな。温度を20~25度に保たなければならないので大変ですが、ネットで色々調べながら可愛がっています。角を綺麗にするには、どうするのか。強い個体にするには、何をすべきか。反省と学びを繰り返すのは仕事と一緒ですね」と、気持ちを燃やしている。そして、「カブトムシもいずれはイベントの一環として子どもたちに配れたら嬉しいです。仕事もこのまま地域密着を大切に、痒いときに手の届く存在として信頼をしてもらえるよう頑張りたいです」と、成田さんは語った。
問合せ:成田さん
Tel.0436・26・2577
mail:info@nisseikensou.co.jp