折り紙で日本と世界をつなぐ

 日本の伝統文化として海外でも興味関心の高い折り紙。必ず一度は折ったことがあるだろう。一年の延期を経て今夏開催された東京オリンピックで、来日した外国人アスリートに折り紙をプレゼントし、市原市のおもてなしを世界に発信しようと活動した団体がいる。

『いちはら折り紙フレンドリークラブ』の設立は2020年1月。活動は、2018年6月頃に遡る。代表の土井清二さんは、「コロナ禍になる前、私は趣味で海外旅行によく行っていたんですが、現地で折り紙は大人気でした。それを知った、青葉台小学校ボランティアコーディネーターの中谷勝敏さんが提案してくれました。オリンピックでやったら面白いねって」と、振り返った。

 東京オリンピックでは、市原市および教育委員会の後援を受けると共に、市原市オリンピック・パラリンピック推進室および千葉県環境生活部県民生活・文化課とも連携をとり、市内の小、中学校に通う子どもたちが選手や来日観光客へ会場や駅各所などで折り鶴などを配布する予定で準備を進めていた。それは、「折り紙を通して、子ども達がオリンピック・パラリンピックに『市原市のおもてなし』として活動することで郷土愛を深めてくれること。外国人とのコミュニケーションの入り口にしてくれること」の効果を期待してのことだった。

 ところが、コロナ禍の影響で来日する観光客はなし。選手への直接的な接触は不可能となってしまった。予定していたすべての活動が白紙になると思っていた土井さんの元へ、市の担当者から折り紙企画の要請が飛び込んだ。そこで、土井さん及び君塚老友クラブの折り紙仲間たち、そして市原市君塚在住の子どもたちの計19名は、羽ばたく鶴、パクパク動く唇、祝い鶴の3種と、市原市のロゴマークが入ったメッセージカードのセットを制作。「メッセージカードにはQRコードを記載して、折り紙や習字などの日本文化を4分間にわたり高1の男子が英語で伝えるビデオが見られるよう工夫をしました」と、土井さんは笑顔で話す。それらは、市原市に滞在したオーストラリアのサッカーチームや、イスラエルからの陸上及び新体操の選手らに市の職員を通して贈られ、後日、土井さんらは練習試合観戦に招かれたという。

 子どもや保護者からは、「間接的にでもオリンピックに携わる貴重な経験ができた」「少しでも世界と繋がれた」と、喜びの声が上がったという。土井さんも、「短期間の活動でしたが、市原市地域連携推進室や生涯学習センター、そして趣旨に賛同していただいた多くの方の協力に支えられ、私にとっても本当に有意義で楽しい経験でした」と、満足の声。同クラブは今後も、延期となっている『いちはらアート×ミックス』が開催する際には折り紙体験などで参加し、市内外の人々に向けて折り紙の楽しさを発信していく予定だ。

問合せ:土井さん

Tel.090・1707・9794

mail:doisei@hotmail.co.jp


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