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富里市ではじめての観光・交流拠点施設 『末廣農場』オープン!【富里市】
- 2022/6/2
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- 富里市
富里市七栄にある国登録有形文化財『旧岩崎家末廣(すえひろ)別邸』。ここは三菱財閥の創業者一族、三菱グループ第3代社長・岩崎久彌(ひさや)が手がけた近代農場『末廣農場』内の近代和風住宅で、月曜休園の週6日間、一般公開されている。その向かいに6月5日グランドオープンしたのが、富里市初の観光・交流拠点施設『末廣農場』だ。
近代農場の歴史的遺産
岩崎久彌は慶応元年、幕末の動乱期の高知で生まれた。父は、坂本竜馬を支援し三菱財閥を創業した岩崎彌太郎。父の死後、2代社長を務めていた叔父・彌之助から、明治24年・28歳で3代社長を引き継いだ。本社を丸の内に移し、茅町本邸を竣工(現東京都台東区・旧岩崎邸庭園)、事業を多角化し国内産業の近代化を後押しするかたわら、岩手県の小岩井農場を再建・発展させた。
さらに大正元年、現富里市に所有していた東京ドーム約73個分という広大な農場で、放し飼いの養鶏・養豚をスタート。先進的農法を実践し、自家製ハムやソーセージを作り、大豆の栽培では多収穫方法を確立。富里の名産物のスイカも原種栽培を行うなど、富里が農産物の一大産地となった礎を築き、日本の農業の発展に大きく貢献した。「久彌さんは常に新しいことに挑戦した人。その精神を引き継いで、この施設も色々チャレンジしていきたいと思っています」と施設スタッフも話す。
農場は戦後の農地解放でなくなったが、今回、施設名をあえて『末廣農場』にしたのも、久彌が育てたこの農場の歴史的価値を伝えていくため。施設の奥のフロアでは、岩崎家ゆかりの地域や末廣農場、富里市についての資料があり、久彌の人生や功績なども展示、学べるようになっている。
施設の向かいにある『旧岩崎家末廣(すえひろ)別邸』は、久彌が末廣農場に滞在するため整備した近代和風の『農場別荘』で、主屋・東屋・石蔵の総称。主屋はモダンな建具意匠、関東大震災の教訓を活かした耐震構造の考え方などが採用され、東屋はガラス障子で、庭園を楽しむ応接室のような建物。野趣に富んだ材料で構成され、洋式家具をしつらえた御茶屋風の雰囲気。当時の暮らしや生活文化を知ることができる貴重な遺構だ。
久彌は晩年をここで過ごし、その後も別邸は壊されることなく大切に保全。平成24年には、維持管理してきた三菱地所株式会社が富里市に別邸を寄附し、翌年、国の有形文化財に登録された。新しい『末廣農場』は、末廣別邸とともに富里の活性化を担っている。
久彌ゆかりの地から名産品を
『末廣農場』の特徴は、地元富里の新鮮な農産物や菓子・惣菜はもちろん、『岩崎久彌ゆかりの地域』の名産品を販売していること。久彌が再建した小岩井農場からは、直営店や岩手県アンテナショップ以外では初となるシュークリームやソフトクリームが食べられる。本邸のあった台東区からは浅草の有名店などの商品が、出身地・高知からはカツオの珍しい加工品などの特産品が並ぶ。
レストランではかつての農場にちなみ、脂まで甘みがある『ダイヤモンドポーク』を使った料理と、農場の食事をイメージした卵かけご飯セットなどが登場。稀少なダイヤモンドポークのバラ焼きは、数量限定のオリジナルグルメ。三菱のマークがついた『末廣饅頭』も、この施設でのみの限定品のお土産だ。
また、施設を運営する㈱グッドスタッフは、全国の指定管理を主に手がけている企業。その強みを活かし、全国各地から旬のものを随時届けるという。阿蘇の牧場のソフトクリームも販売するので、小岩井のソフトクリームと食べ比べもできる。
施設は6月5日にグランドオープンし、5月末からのプレオープンと合わせ、多くの来場者で賑わっている。「オープンを楽しみにしてました。待ち遠しかったです」「小岩井の商品が大好きなので、こんな近くで買ったり食べたりできるのは嬉しい。岩崎家のことも初めて知りました」と、近隣地域の住民のほか、車で片道1時間以上かかる他エリアの客も来訪し、好評だ。富里で美味しい各地の産品を味わってみてはいかがだろうか。
●末廣農場
9~18時、(月)定休 富里市七栄650の206
Tel.0476・93・1200
●旧岩崎家末廣別邸
10~18時、(月)定休 富里市七栄650の25
富里市生涯学習課
Tel.0476・93・7641