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日常のなかの非日常を切り取って~ 大原フォトクラブ~【いすみ市】
- 2023/1/26
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【写真】(前列左から)会長・後藤さん、講師・片岡さん、
(後列左から)会員の常盤さん、後藤さん、市原さん、中村さん
昨年12月3日~11日、茂原市立美術館2階の市民ギャラリーで、大原フォトクラブ写真展が開催された。会員7名による35点ほどの作品は、何気ない周囲の風景から、それぞれが惹かれる瞬間の事物を切り取ったもの。海辺、滝、砂浜、お祭り、散歩道、板塀など、普通にあるものが、撮り方で違う『何か』にも見えたり感じたりする。撮影者の個性もよく出ている写真だ。
「大原フォトクラブは、設立が昭和20年代。前身の同好会から始まって、50年以上活動しています。詳細はよく分からないのですが、地元の写真館の社長と仲間で作った同好会で、当時のマニュアルだったカメラ撮影の基本的操作を教えていたようです」と会長の後藤正敏さん。その流れは現在のクラブにもあり、月1回開かれる定例会では、各会員が5~10点の2L作品を持ち寄り、講師の片岡さんが撮影技術、鑑賞の仕方、それぞれの長所などを講評。「みんなで和気あいあいと、初心者でも基本的なところから教えてもらえます。自分の写真がレベルアップしていくのも分かるので、撮影の楽しさも倍増しますよ。それに講師は、撮り方だけでなく、写真文化やその歴史についても話してくれるので、写真界のことからカメラや撮影技術の奥深さも分かります」と後藤さん。
後藤さんがクラブに入会したのは定年後。「仕事での写真撮影をきっかけに、退職金でカメラを買ったら、クラブにいた会社の先輩に誘われて。妻も同じ会員で、今でも最大のライバルです」。講師の写真歴は20代半ばから。地元の写真館でカメラや撮影技術を色々と教えてもらい、会社勤めをしながら一人で好きに撮影してきたという。「自分が教えてもらった分、伝えたい気持ちがあって。千葉県立美術館友の会の講師をしていたら、後藤さんにクラブの講師も頼まれました」と笑う。
大原フォトクラブの写真展は、毎年3月と9月、大原での開催が恒例。コロナ禍で2年ほど中止し、昨年3月に久しぶりに大原で開いた。次の写真展を企画するに当たり、「長生・夷隅地域の中心的な茂原で開催するのはどうだろう」という案が出たという。「茂原市立美術館は他の写真団体の多くが写真展を開催しています。よりたくさんの人に見てもらえればと、初めて茂原での開催になりました」と後藤さん。展示会では、講師がそれぞれの写真の特徴なども説明。「クラブではテーマを決めていないので、各自が好きなモチーフを選びます。なぜかバランス良く、様々なタイプの写真が出てくるのが面白いですね」
撮影の多くは、地元の夷隅地域を主とした千葉県内。朽ちてレースの様な網戸を彩る蔦の紅葉、モノクロの海と突堤、神社の境内の飛び石、板塀の木目のアップ…。それぞれ日常風景の中からクローズアップしている。「撮影対象の『事実』を鮮明に写し出す写真は、いつもの風景を空気感とともに、時間ごと切り取って残すことができます。それはその一瞬にしかない情景で、自分が見えていなかったものも写真にしたら分かったり。撮り方や構図で、日常のものも非日常的になる写真には、文学や美術に通じるような魅力があると思っています」と片岡さん。後藤さんも「自分が撮りたいイメージのものが見つかると凄く嬉しくなります。シャッターを押す時に、指が震えるほど感動する風景に出会うこともありますよ。なかなか巡り会えないので大変ですが」と話す。
現在、会員は6名。「撮影は外を歩きますから、健康にも良いですね。それに写真は撮影したときの感動や面白さなども一緒に残ります。見返す楽しさもありますよ」と後藤さん。定例会は第3日曜の9時半~12時半、大原文化センターにて。見学大歓迎。
問合せ:後藤さん
Tel.090・5829・2488