ふるさとビジター館 自然探訪~美しい小鳥・キビタキ~

 水辺の宝石カワセミやオオルリなどの美しい小鳥をきっかけに野鳥好きになる人は多いが、キビタキがきっかけになる人も多いと聞く。ヒタキ科の夏鳥として、南国から繁殖のため日本など北東アジアに渡って来る野鳥だ。体長13.5㎝、オスは羽など背中部は黒色だが、黄色の眉班があり、喉から腹が黄色く、特に喉部はオレンジに近い鮮やかな色の美しい小鳥である。
 全国的に見られるが、房総丘陵での繁殖数は多くないため、春と秋の渡り途中の市街地の公園や街路樹がチャンスである。木々の中にいることが多く、体色が葉の緑の保護色になるため、探し出すことは困難だが、「ピッコロ」とコジュケイやツクツクボウシに似た軽やかでテンポ良い囀りを手掛かりに、美しい姿を見つけられると嬉しくなる。
 英名はナルシッサス・フライキャッチャー。フライキャッチャーは、飛んでいる虫を捕える行動由来。ナルシッサスは、「水仙」を意味するようだが、水面に映った自分の姿に恋をして、溺死し水仙の花になったと言われるギリシャ神話の美少年ナルシスが由来ともされる。確かに、オスは人の目に鮮烈な印象を与える。比べてメスは地味な暗緑色で目立たない色だ。安全で効率的な繁殖のためとされているが、オスとのあまりのギャップに驚く。
 声を手掛かりに新緑の森で探して見よう。見つけることができたら、あなたも野鳥好きになることは間違いない。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

 

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