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みんなの広場『ららぱーく』~緑の環境プラン大賞で国土交通大臣賞受賞~【市原市】
- 2023/5/18
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市原市椎津の住宅街のなか、車1台分の細い道路沿いにある地域の公園『ららぱーく』。昨年11月、『都市の緑3賞(主催:公益財団法人都市緑化機構・一般財団法人第一生命財団)』で、第33回緑の環境プラン大賞ポケット・ガーデン部門にて、国土交通大臣賞を受賞した。ららぱーくを管理する『花咲き山』代表、岩﨑光世さん(81)は、「20年近く、地域の公園として皆さんに親しまれ、多くの方のご縁で支えていただいたおかげです」と話す。
地域に開かれた公園
ららぱーくは、もとは岩﨑さんの祖母が丹精していた畑で、岩﨑さんの住まいも公園の並びにある。「私は椎津の生まれ。結婚して夫の転勤で日本のあちこちに行って、2000年に故郷へ戻ってきました。夫は数年間単身赴任し、定年後にここに来て、今は夫婦ふたり暮らしです」
岩﨑さんは祖母からもらった畑を整えるにあたり、母校・姉崎小の通学路だったことから、子どもたちに何かできないかと思い、花を植えることにした。当時の町会長の提案もあり、地域の人たちが自由に立ち寄れる公園として、たくさんの花に果樹も植え、時間をかけて整備し、嬉しい・楽しいをテーマに『ららぱーく』と名づけた。以来、多くの人たちの手助けを受けながら、公園を守ってきたという。「公園づくりと平行して、姉崎小の読み聞かせボランティアにも参加していました。その縁で、毎年新一年生の校外学習にもずっと使っていただいています。散歩の途中での休憩や、子どもたちが学校帰りに園内の花や実を摘んだり、みんなでハーブの収穫をしたり。晴れた日はいつも誰かが寄ってくれます」
さらに岩﨑さんは、地元の椎津城跡や椎津川の美化活動も行う。「椎津城は本丸近くに市の土地がありましたので、ツツジやアジサイを植樹。地域の歴史について学ぶ県立姉崎高校の生徒たちとの交流も、椎津城がきっかけです。ららぱーくが面した道は、椎津城主が作った『要害道』。生徒たちが木の案内板を制作して、家の敷地内に立ててくれました」。2016年、椎津城は県の4番目の城に指定され、ららぱーくは椎津城散策のルートになった。地域の生涯学習見学コースにも入っているそうだ。
芝生広場を整備
岩﨑さんが代表を務める『花咲き山』は、2013年の設立。手伝ってくれるボランティアも増えたため、月1回の公園整備の日などを決めたという。「会の名前は、私が読み聞かせをしていた本にちなみました。人生の花を咲かせていくという意味も入っています」
ららぱーくには記念的樹木が2本ある。1本は東日本大震災の被害を受けた福島県三春の滝桜の子孫樹。現地ボランティアで福島に行った人から苗木をもらい受け、植樹した。当時は8センチ位だったが、今では4メートルにもなり、毎年、見事な花を咲かせている。もう1本は公園のシンボルツリーのハナモモ。2019年の台風15号で、被害を受けた市内の木を移植した。「どちらも災害を忘れぬための木ですね。子どもたちにも話しますし、福島に縁のある方が訪ねてきて、お話を聞くこともあります」と岩﨑さん。今年は3月11日~4月2日の間の17日間、竹灯りで三春桜をライトアップ。3月12日にはイベント『ららぱーくに花を植えよう』を実施して、ぷちガーデン講座も開催した。
「近年はボランティアも高齢化し、長年のうちに木も生長、公園が管理しづらくなってきました。その中でもっと若い人たちに親しんでもらえて、世代を問わず活用できるよう改めて公園づくりを考えたのが、環境プラン大賞の応募。札幌在住の娘が企画立案し、公園のコンセプト『緑が育つ人が集まる公園』を決めました。受賞後の今年1月には姉崎中と姉崎高校の先生や生徒を中心に、地元の中村造園さんの協力で、木の伐採や根の掘り起こしをし、花の植え替えや芝生広場作りなどを行いました。これからのららぱーくは、さらに地域で共有・参加できる空間として、地域の人たちと一緒に整備していきます」
岩﨑さんのプランは、雨水でのビオトープや堆肥作りなど、まだまだ続く。花に囲まれた休憩場所を作り、芝生広場ではイベントや会合などにも使ってもらうのだという。「地域の人が癒やされ、交流できる公園が目標です」と、明るい笑顔で話す岩﨑さん。この5月21日には、小出譲治市原市長も来場し、受賞後のお披露目会が行われる。公園には駐車場・駐輪場がなく、道も住宅街の狭隘道路で通学路。見学等を希望の方は岩﨑さんまで問合せを。
Tel.080・5672・5685