懐かしのシネマ~ウエスト・サイド物語~

 光陰矢の如し、今年の掉尾(ちょうび)を飾る懐かしの映画は、「ウエスト・サイド物語」です。1961年(昭和36年)公開、監督はロバート・ワイズ(2005年・91歳没)。私は「ウエスト・サイド物語」は、ミュージカル映画の最高傑作だと思っています。第34回アカデミー賞で「作品賞」ロバート・ワイズ、「監督賞」ジェローム・ロビンズとロバート・ワイズ(二人で監督をしています)、「助演男優賞」ジョージ・チャキリス、「助演女優賞」リタ・モレノと、それぞれ受賞しました。ロバート・ワイズは、4年後に「サウンド・オブ・ミュージック」でも監督賞を受賞しています。

 ストーリー・音楽・歌・ダンス・ファッション、どれもが素晴らしく、1年半にわたるロングラン上映となった記憶があります。何と言っても400日以上のロングラン上映は日本では初めてのことで、これは多くの若者たちがリピーター(カップルで見に来る)になったことからでした。当時の日本のファッションはアメリカン・スタイルが主流。ファッションディレクターでメンズファッションの神様・石津謙介氏が生みの親として知られる日本独自の「アイビールック」も、60年代に一世を風靡しました。映画では、ジーンズとコンバースシューズで踊るシーンが印象的で、若者たちのカジュアルファッションの定番になりました。まさにこの時代にマッチした映画といえます。

 奇しくもこの11月上旬に、巨匠スティーヴン・スピルバーグが製作した「ウエスト・サイド・ストーリー」(米国で2021年、日本では2022年公開)が、急遽(きゅうきょ)衛星放送で放映されました。スピルバーグの「ウエスト・サイド・ストーリー」は、残念な事に、第79回アカデミー賞でアリアナ・デボーズが助演女優賞を受賞したのみで、寂しい限りでしたが、ご覧になった方はいかがでしたでしょうか?

 来年も「懐かしのシネマ」では、相応しい映画を紹介していきますので、お楽しみに。読者の皆様も、どうぞ良いお年をお迎えください。

 

◇黛葉(まゆずみ・よう)
茂原市在住。1942年生。元映画配給会社宣伝プロデューサー。現役時代は年200本以上を鑑賞、現在、放送された洋邦画の録画DVDは1100枚以上にのぼる。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】スパリゾートハワイアンズ・ウォーターパーク ●千葉県立美術館開館50周年記念特別展「浅井忠、あちこちに行く~むすばれる人、つながる時…
  2. 【写真】五井小の歴史をたどるスライドショーの冒頭、紹介する子どもたち        昨年と今年は、創立150周年を迎える小学校が多数ある。1…
  3.  冬の使者と呼ばれるハクチョウ。シベリアなどから北海道を経由し、冬鳥として日本へ広く渡って来る。近年、地球温暖化の影響で、繁殖期と越冬期が暖…
  4. 【写真】坂下忠弘  来春3月2日(日)、市原市市民会館・小ホールで開催される『いちはら春の祭典コンサート2025』。市原市…
  5. 【写真】千葉県立中央博物館・御巫さん  11月24日(日)まで、千葉県立中央博物館で開催されている『二口善雄 植物画展』。…
  6. 【写真】川口千里(左)、エリック・ミヤシロ  日本を代表するトランペット奏者、エリック・ミヤシロを迎え、いま最も注目を集め…
  7. 【写真】うたと語り「今、この町でこの歌を」  毎年、夏に開催される『市原平和フェスティバル』。平和への祈りとメッセージが込…
  8.  今回は「映画音楽」特集の第1回。良い映画では必ず、音楽・主題歌が感動を与えてくれます。テレビCMでも使われる名曲もあり、何処かで聞いたこと…
  9.  3つの窓が並ぶカウンターはケヤキの一枚板。絵本コーナーは小上がりになっていて、壁際の本棚の横には籐の椅子。マンガが並ぶ2階の屋根裏へは細長…
  10. 【写真】布施知子《二重折りのヘリックス》2018  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『かみがつくる宇宙―ミクロとマク…

ピックアップ記事

  1. 【写真】五井小の歴史をたどるスライドショーの冒頭、紹介する子どもたち        昨年と今年は、創立150周年を迎える小学校が多数ある。1…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る