焚き火が恋しい季節になりました。私は週末の黄昏時、陽が落ち始める前から焚く準備を始めます。我が家の焚き火台は壊れて要らなくなった洗濯機のドラムを取り外したもの。見た目は悪くても立派に焚き火台として役立っています。燃やす材料は家庭と職場から出るゴミを分類し、紙類だけを燃やしていきます。ゴミの問題を意識するようになってから量をだいぶ減らせるようにはなりましたが、それでも燃やせる紙の量が増えるとちょっぴり嬉しい気持ちになってしまいます。

 小屋の前に焚き火台を置いて、まずは柔らかい紙から火をつけ、徐々に厚めのものへと移していきます。十分に種火が出来上がったところで、今度は拾い集めておいた枯れ木の枝を少しづつ火の中へと投げ込みます。しばらくするとパチパチという小さな心地よい音がし始めて、香ばしい木の香りと共に煙が立ち昇ります。またしばらく経ち、十分に火が安定したところを見計らってから、最後に太めの薪を入れるとさらに火の勢いが増していきます。

 小屋のデッキの上に腰を下ろし、手をかざして身体全体が温まってきたら、アルミホイルで包んだサツマ芋を火の中にもぐらせます。台の上に鍋を乗せ、大好きなコーヒーを沸かし、そして燃え上がる火を見つめながら、芋がほどよく焼き上がるのを辛抱強く待ち続けます。

 辺りはすっかり暗くなり、気温もだいぶ下がって来ました。何故か懐かしい感じがする焚き火は、何万年、何十万年もの間、祖先も同じように火と共に暮らしていたという、身体の中に刻み込まれた遠い記憶が呼び起こされるからかもしれません。我々の祖先も毎日のように家族で火を囲みながら暖をとり、食事をしていたことでしょう。そろそろ火の中の焼き芋も良い感じになってきたようです。寒空の下、焚き火の側で頬張る焼き芋と熱いコーヒーの時間は、質素でも最高の一時です。

 

◇長谷川良二。長柄町在住。ハーブコーディネーター、ガーデニングコーディネーター、歯科医師。市原を中心に公民館でのハーブの指導などをしながら自然栽培で野菜を育て、養鶏、養蜂にもトライ中。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  2.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  3.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  4.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  5.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  6. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  7.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る