長南のいいとこ再発見  町の宝を掘り起こす~ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト~【長南町】

【写真】つなぐ市にて、スタッフやボランティア、出店者の皆さん

 

 ユニークなネーミングの『ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト』、略して『ほぼみち』。長南町が大好きな12名のメンバーが集まり、『長南つなぐ市』などのイベントを通して町の魅力や豊かさを再認識し、町の内外にアピールする活動を行っている。長南の土地に育まれた新鮮な作物や人々の手仕事から生まれたモノが集まる、長南町にはこれがあるといえるような多くの人でにぎわう施設、道の駅ならぬ『ほぼ道の駅』の開設を1つの目標と掲げている。

すぐそばにある豊かさ

『つなぐ市』での縄ない体験

『ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト』代表の高橋信博さんと妻の裕子さんが東京都から長南町に移住してきたのは2014年のこと。初めは週末を過ごす家として購入した古民家で都心との2拠点生活だったが、古民家の大掛かりな改修を見るにつけ、信博さんは「こんなに楽しい機会は2度とない」と会社を辞め、専業で改修の手伝いを始めた。軸足を長南町に定めた高橋夫妻は、料理を生業として『芳泉茶寮』を2015年にオープン。公私ともに交流の輪が広がっていく中で2人が感じたことは、「地元の人が長南はいい町だと言えていない」ということだった。裕子さんは、「長南は自然が豊かなだけでなく、人があたたかい。仕事は何?ではなく、人として付き合ってくれるところが心地よい。それなのに『東京からなんでこんなところに来たんだ?』と言われるとすごく寂しかった」と思い返す。

長南米の卵かけご飯

 2020年、長南町の良さをみんなで分かち合える場所を創り出すことを目的に、信博さんが声を掛けた総勢12名のメンバーで『ほぼみち』をスタートさせた。メンバーは、地元出身者、結婚して住人になった人、移住して間もない人と、それぞれの立場、それぞれのものの見方を持った顔ぶれだった。「町外から来たメンバーが町の良さを掘り下げて、生まれ育ったメンバーが『やっぱりすばらしい』と再発見の過程がありました。会議と言いつつ、たびたび脱線しながらも町への理解が深まって、とてもいい準備期間でした」と裕子さん。長南出身で『ほぼみち』の名付け親でもある三枝麻由美さんは、「初めは移住者をよそ者と感じていたことも事実です。よく脱線するミーティングももどかしかった。でもそうじゃない。『町でこんなことがあった、こんな方言知ってる?』と、ただおしゃべりすることが大事なんだと気が付きました。お互いを知り、長南町の特性をつかみ、形あるものを始めるまでにすごく長い時間をかけました」と振り返る。

「路面店ができた時に売るものをつくろう」と、2023年1月には、メンバーの8名が株主となって『ほぼみち物産株式会社』を設立した。長南産の素材で漬物や調味料、菓子などを作り、通販やイベントのマーケットで販売している。またかつて町内で醸造されていた醤油や味噌を製造販売するため、古民家『芳泉茶寮』の長屋門を醸造所に改修。来年には瓶詰の醤油も商品のラインナップに加わるとのことだ。

笑顔が集まるイベント

新米まつりで行われる餅つき

 6月16日、第6回長南つなぐ市が長南町農村環境改善センターにて開催された。会場はグルメあり、ダンスあり、クイズありと、大勢の町民でにぎわった。座敷で車座になる『町長とおしゃべり会』もつなぐ市では毎回開催される。「みんながつながりあうことを大切に」、移住してきた新住民に受付スタッフをしてもらったり、コロナ禍で町民と触れ合う機会の少なかった役場の新人職員にボランティアとして手伝ってもらったりといったアイディアも。高橋信博さんから実行委員長を引き継いだ『ほぼみち』メンバーの仁茂田祐基さんは、生まれも育ちも長南町。「小さい頃、町民体育祭がとても楽しかったので、町内のイベントは懐かしくて楽しいです。縄ないを教えてくださる方や陶芸家など、町内にこんな方がいたんだと、知り合い、つながっていける。元々の住民と移住組もいい形で共働できています」。信博さんは、「出店者も来場者も町内限りなので、おじいちゃんおばあちゃんも安心して来られる。久しぶりと言って楽しそうにおしゃべりする姿を見て、やってよかったと思っています。頑張りすぎず長く続けることが大事。町の景色の一部になってきたと手応えもあります」と話す。出店をした『お薬師豆腐』の板倉良恵さんは、「出店者同士のつながりが広がり、別の所で店の紹介をしてくれてお客様が来てくださったり、ありがたいです。長南の暮らしが楽しくなりました」と、声を弾ませる。

昔ながらの梅干し

『ほぼみち』はほかにも、米どころ長南の米を主役に据えて、かまどで炊いたご飯に卵をかけて食べる『TKG祭り』や、『新米祭り』を行っている。醤油絞りや古民家と親しむなどワークショップも多彩。こちらは町外からの参加も大歓迎。イベント情報はホームページやフェイスブックで発信している。今年度の新米祭りは長南町蔵持の芳泉茶寮にて10月5日(土)10時半~15時。かまど炊きご飯、ポン菓子、杵と臼でついた餅など、様々に新米を楽しむ。詳しくは問合せを。

 

問合せ:ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト

mail:nimokyu@outlook.jp

HP:https://hobomichi-chonan.localinfo.jp

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