古代のメモリアルパークを訪ねて 国指定史跡 長柄横穴郡
- 2013/6/21
- 外房版
古代のメモリアルパークを訪ねて
国指定史跡 長柄横穴郡
古墳時代の横穴墓群というと、穴の数が200以上あるハチの巣のような埼玉県の吉見百穴が有名だが、千葉県でも長柄町には町内に約330基の横穴墓が造られ、その中に長柄横穴群がある。場所は県道市原・茂原線沿いから少し入った里山の田園風景が広がる徳増地区。県道に2カ所案内板が出ている。最近はウオーキングを楽しむ人たちにも人気のコースだとか。
長柄横穴群は、昭和55年に16基が千葉県の指定遺跡に、平成7年には遺存状態が良く、数基に仏教文化の影響が及んだと考えられる線刻画などが残されていたことから、35基が国の遺跡となった。長柄町では、国および県の補助を受け、史跡長柄横穴群の保存整備を進め、平成22年、史跡長柄横穴群資料館が開館。
古墳時代の終末期、7世紀代に造られた横穴墓は、丘陵地の斜面に横に穴を掘ってお墓としたことから「よこあなぼ」と呼ばれ、数基まとまって分布し、墓1基には複数の遺体が安置されている。長柄横穴群の特徴は「他の地域では上にも造っているが、長柄町の場合は横に複数あること」と資料館を案内してくれた長柄町役場の松本昌久さん。
長柄町の横穴墓は、『高壇式』と呼ばれる形態が主流。遺体を安置した『玄室』が一段高い位置に造られてあり、全国でも珍しい特色のある横穴墓。松本さんは「他の地域と比べ河原石がないので、蓋をできないから、獣に荒らされたり、副葬品を盗まれる心配もあり、段差をつけたのでは。はっきりした理由は分からない」と話す。『玄室』までの通路として『羨道』、供養などのまつりごとをした『墓前域』と呼ばれる場所もある。
長柄横穴群は資料館の両側に第1支群と第2支群があり、現在、保存整備された第1支群のみ見学可能。資料館の駐車場に車を停めて、目の前にある5号基から12号基を見学してもいいし、すぐ近くに見える13号基から17号基、もしくは1号基から4号基を先に見てもいい。将来の保存活用のため、内部を見ることはできるのは一部だが、各基をイラスト入りで説明した表示板を読むと、イマジネーションがかきたてられる。尚、見学路には何カ所かベンチがあり休憩できる。
史跡の見学路前に建つ資料館は常駐職員はいないので、見学希望者はインターホンを押せば公民館につながり、職員が現地に来てくれる(9~16時30分、(月)休館)。尚、事前に申し込めば、来館時間に合わせて、職員が現地に来て開館する。館内にはパンフレットや実物大の横穴墓を再現した展示もあり、実物では見られない線刻画も見ることができる。また、地元で出土された縄文土器の展示もしている。トイレは館外にあり24時間使用可。明るく開けた場所で、駐車場隣には公園も整備されている。
問合せ 長柄町公民館
TEL 0475・35・3242