野菜たちをたくさん生み出す『産婆』になる
- 2013/12/13
- 外房版

野菜たちをたくさん生み出す『産婆』になる
松下信也さん
山武市在住の松下信也さん(35)が、妻である沙由里さん(33)と無農薬野菜の生産、販売を手がける『サンバファーム』を立ち上げてから2年半が過ぎた。広い自宅庭には納屋やビニールハウスが建ち並び、鶏やネコが自由に子ども達と戯れる。「借りている約1.4ヘクタールの畑までは家からトラクターで10分、車なら5分とかからない好立地」と話す信也さんは、元々は夫婦で共働きの会社員で、2人とも農業は初めて。「きっかけは、長男を妊娠したことで毎日口に入れる食材というものへの関心が高まったことと、ちょうど転職を考えていた時期が重なった。
加えて、自然が多くて環境に優しい、家族と一緒にいられる時間が多い、ものづくりができるなど他にも様々な理由があった。就農への転身としてまず下調べを万全に行った。まずは農業研修だが、条件はいくつも必要だった。都心に近くて、有機農業ができる。また、研修が終わってからがスタートなのですぐに販路の確保できる地域。研修の身でも家庭を持っていることから、日当を貰えるというのも大きかった」という理由から、2010年4月さんぶ野菜ネットワークという有機農家の組合が行う農業研修に参加した。研修期間は1年で2タイプの農家に就労した。
「一方は、前の代からの農家で週5日勤務。もう一方は新規就農6年目の農家で週1日勤務。どちらも普段の農作業を一緒に行うことで見て覚える方式。だが、栽培方法や技術、経営のやり方など考え方から実践までそれぞれ異なることもあり、とても勉強になった。山武辺りのこの地域は新規就農者が多く、家も畑もなかなか見つからない」と信也さん。現在の自宅も研修先の知り合いが見つけてくれて運が良かったとか。沙由里さんも、「作業時間は冬になると夏の半分で、就農がきついと感じたことはない。基本畑仕事は夫、私は袋詰めと家事をしているが、家で作業が出来る分どこまでも続けられるということで、オンとオフの区別が難しいかも」と続けるが、その顔はどこか楽しそうだ。長男の潤君(5)と源君(1)も収穫した野菜を手に笑顔を浮かべる。寒空の下、裸足で庭を駆け回るほど元気で風邪で寝込むことなどないという。「現在は、個人の定期契約で宅配をしたり、さんぶ野菜ネットワーク、市役所などでの朝市が主。他には、しょうがを使った加工品を生産していて、野菜や肉、魚となんでも相性の合うしょうが塩ダレ。
紅茶に入れたり炭酸水で割ってジンジャエールにできるしょうがシロップも販売している」と話す信也さんだが、ここまでくるのに失敗もあった。「1年目はまだ防虫ネットの張り方もあまく、台風で飛ばされたり、アブラムシが発生してダメになってしまったり。また基本畑仕事は1人なので大量の出荷で対応が間に合わなかったりしたことも。でも技術や経験で減らせていける問題で、最近の忙しい時はシルバー人材を活用するなどコツがつかめてきた。やるべきことに手間をかけないと結果に結びつかないと学んだ」という。また、地域には新規就農者が多いということで顧客を掴むにおいてデメリットがあるかと思えば、「朝市に関しても毎週自分がやるのは一苦労。数組のグループで回したり、機械の貸し借りが出来たりとメリットの方が多い」のだとか。そして、「サンバファームは、長男が生まれた産婦人科の名前『サンバハウス』にちなんで名付けた。
野菜をたくさん生み出す産婆になりたい。今は50種類ほどの野菜を季節に合わせて収穫、出荷している。珍しい野菜はバターナッツというカボチャの一種、ポタージュで食べるととてもおいしい。鮮度は抜群。宅配では見た目も綺麗な荷造りを心がけている。今後は、都会の色んな人を呼んで畑の楽しさ、料理のプロとコラボレーションしながら野菜のおいしさを一緒に感じるようなイベントをやりたい。そして地域の子ども、2人の息子が農業をかっこいいと思って引き継いでいってくれたらいいな」と語る信也さん。サンバファームの宅配は、定期購入の前におためし農園セットもありプレゼントにも活用できる。色とりどりの野菜が、彼らを応援するように輝いていた。
問合せ 松下さん
TEL 090・8788・9304
http://sanbafarm.com
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