地元いすみ市・大多喜町のオリジナル曲を生の音で届けたい

ロックバンド『ふさふさ本舗』

 大多喜町やいすみ市を活動の拠点とするロックバンド『ふさふさ本舗』が結成から1周年を迎える。『ふさふさ本舗』は、ボーカルの小畑麻夫さん、ギターの伊藤文隆さん、ドラムの山辺義大さん、ベースの荒井正俊さん、キーボードの荒井陽子さん、40から50代5人のメンバーで結成されている。
 バンドの方向性を伊藤さんは、「押しつけることなく楽しめる音楽を提供したかった。音楽を聴くというと椅子に座って静かにというイメージがあるが、そうではない。歌って踊れる、そして子ども達が自然と楽しんで口ずさむものにしたい」と語る。同バンドの童謡アレンジ、オリジナルソングの作詞作曲作業をすべて担っているのが伊藤さんで、「『ふさふさ本舗』の名前の由来は房総の字の読みである『ふさふさ』から取った。大多喜やいすみをより盛り上げる手助けが出来たらと考えている。
 現在は童謡をロック調にアレンジした子ども曲が20曲ほど、いすみ鉄道や大多喜城など地元に基づいたオリジナル曲が6曲ある」と続けた。「初ライブをしたのが去年の3月。バンドを作ったきっかけは、作曲の仕事をしている私の趣味がドラムを叩くことで、唯一身体を動かす事でもある。伊藤さんにそのことを話したら、バンドをやろうということに。結成してから考えてみれば、機械を使って作る音楽が多い現代で、生の音に触れる機会はとても少ない。子どもにもアナログな生々しい音を体験して欲しいという気持ちをみんなが持っていた」と山辺さん。
 1年間、通常週1回の練習で互いの音楽観や地元への想いをぶつけ、高め合ってきた。1月19日(日)、大多喜町にあるベジタブルガーデンで行われたライブではその中から8曲を披露。大多喜町では数センチの積雪に見舞われたが、集まった観客達は熱気に溢れる『ふさふさ本舗』の音に耳を傾けた。演奏した楽曲はバンドのテーマ曲である『ふさふさ天国』、『moon child』、『大多喜城』から童謡ロックの『ふしぎなポケット』や『あめふりクマの子』などなど。『幸せなら手をたたこう』ではお尻を叩いたり、ジャンプをしたり、頭を回したりと斬新なアレンジ。ロックでありコミカル風な歌の中には、子どもたちとの掛け合いを求めるものもあり、ちびっこ達を沸かせていた。
 ライブ中、小畑さんが「子どものうたで綺麗な曲はたくさんある。それは曲調を変えても変わらない」と話すと観客が頷く姿もあった。8曲が次々と流れる間、子どもは手拍子をしながら身体を揺らす。演奏する楽器やテンポが変わるだけでこんなにも雰囲気が違うことに大人は驚かされただろう。聞き慣れた童謡でさえ、間奏に伊藤さんのギターソロが流れることにより場面の危機感や高揚感まで伝わってくるようで、楽しめるものになっている。また大多喜やいすみの地で誰かと確かに生きているという力強さとありがたさ、あることが当たり前になっている城と共に季節を巡っている幸せ、そんな心に染みこむ歌詞も『ふさふさ本舗』の最大の魅力に違いない。
 そして、山辺さんは「『ふさふさ本舗』としてこれから多くのライブやイベントに出演していきたいと思っている。ただ、設定は決めていないものの出演料を必要とするべき」と話す。続けて「私達がそのやり方を取るには理由がある。今、音楽を職業としてやるにはとても厳しい環境にある。フリーターのような形だと家族に反対されることもある。若いひと達が音楽を提供し報酬を得るという、職業として確立できるようなベースを作っていきたい。趣味で楽器を続ける方もいるが、このままでは地元で生のいい音に触れられる機会がなくなってしまう。魅力があるからライブに行く、そんなバンドにしたいです」と強く語り、メンバーも大きく頷いた。
 イベントやライブで突発的に集客しても地域の活性化には繋がらない。花火を上げても、打ち上げるだけでは文化を浸透させたことにはならない。『ふさふさ本舗』が必要だと考えるのは人材、つまりマンパワーである。メンバー全員が、「地元で行う音楽祭などを、地域でもっと連携をして作り上げていきたい」と口を揃えて言う。今後は、「年内にはCDが出せるように楽曲の完成度を高めて行くつもり。『(房総)ふさふさ』の名の通り房総に浸透していく、という気持ちでいく」と伊藤さんは言い、気合いは充分。なお、今年5月4・5日に行われる「養老渓谷音楽祭」にも出演が決定。一度彼らの生の音を聴いてみると、歌を口ずさみながら歌詞の名所を訪れたくなるかもしれない。

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