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茂原市に広がるコスモス畑 八田堰(はったせき)の環境を守る会
- 2014/9/26
- 外房版, シティライフ掲載記事
茂原市の小林と長尾にまたがる八田堰の周りが、今年も満開のコスモスに包まれようとしている。かつては農業形態の変化に伴った耕作放棄地で、管理放棄されたことで里山の荒廃も進んでいた。『八田堰の環境を守る会』事務局長の矢部義明さんは、「ゴミは主に産業廃棄物でした。建物を解体した廃材のコンクリートや鉄筋もあり、重機を使っての作業は1年近くに及びました」と話す。
活動は今年で6年目を迎える。約1.2ヘクタールに及ぶコスモス畑には農業用水のため池である八田堰もあり、水質汚染が懸念されたが幸い実害はなかった。「茂原市の花がコスモスということもあって、堰周辺で育てるようになりました。年間のスケジュールが決まっていて、草刈りをして、種を撒いて、草取りをする。今は機械を使っているけれど、初めは種まきも手でしていたんです」と矢部さん。努力の甲斐あって、一面のコスモスが咲き乱れるようになった堰の周辺は、茂原市の景観条例から保護地区として認められた。
これまでの活動で大変だったことは、「多くの人に理解してもらい、賛同を得られるようになること」だという。現在、同会のメンバーは30名ほど。男性の方が圧倒的に多く、ほとんどが年配の方である。「同じ人が参加するのも大事なことです。しかし、世代を超えた人たちと協力し合って作り上げたいという気持ちも強くあります。活動を続けていくためにも必要です」と強く語った。
景観が守られることで人々が集う場所にもなった。「今はジョギングをする人も見かけるし、市原市五井からスケッチをしに来る方もいる。綺麗になることも嬉しいが、それ以上に日々交流のない人とコミュニケーションを取れるようになることがいいと思います」と矢部さんは笑顔を見せた。1つのコミュニティへと変貌する八田堰を、継続して守っていく必要性は、現在のメンバーのみの手に委ねられるものではない。「綺麗だね」、「やるのが大変でしょう」という声の他にも「茂原にこんなところがあったんですね!」と驚きの声を聞くこともあるという。「もっと認知度を増やすことが大事」と分析する。
今後について、矢部さんは「今の環境を維持していく努力をします。また、これからはもっと女性にも参加してもらいたいです。引退される農家の方も多いので、作業をする際の農業機械の確保も課題の1つです」と話す。今年も10月12日(日)に、『豊田コスモスまつり』と称して八田堰でコスモスのお披露目会が予定されている。まつりでは農産物や焼き芋、豚汁などの模擬売店が出店するほか、コスモスの摘み取りもできる。ぜひ秋を愛でてみてはいかが。
問合せ 矢部さん
TEL 0475・25・6151