施設退園後の児童を支援

 長生郡にある児童養護施設、一宮学園では、様々な事情により家庭で生活することのできない約150名の児童が共に生活をしている。「放課後、児童とおやつを食べながら雑談するのが楽しい。悪いことをして叱られたことをこそっと打ち明けてくれる子もいます」と話す長生村在住の浅生隆さん(67)は、そこで12年もの間、家具や建物の修理などを行う営繕作業員として働き、時には愚痴を聞く役を担いながら職員や児童の様子を見守ってきた。児童たちにとって、ホッと一息つける特別な存在。
 だが、18歳までの養護期間を終えて巣立つ児童たちの行き先に不安を覚える。金銭的にも精神的にも支えのない状態で自立を強いられる彼らは、借金を重ねたり不健全な職に就いてしまうことも珍しくない。就職がうまくいかず、一時的に戻ってくる児童もいる。何かできることはないかと平成24年に立ち上げたのが『一宮学園自立支援はじめのいっぽ後援会』。退園児童への心のケア、人・物・金銭支援とその呼びかけ、定期通信の発行などの活動に加え、今後は学園と協力し、退園前の非行予防教育に力を入れていく方針だ。
「通常の家庭なら、高校を卒業して結婚するまでは朝起きたら温かいご飯が待っている。大学や会社から帰宅すれば話を聞いてくれる親がいる。わずか18歳で全て自分でやっていかなければならない施設出身の児童たちを、温かい気持ちで社会が受け入れてあげなければ」と呼びかける。

問合せ 一宮学園自立支援はじめのいっぽ後援会 荒木さん
TEL 0475・42・2069

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