不思議がいっぱいクサフグの産卵行動

 魚釣りをすると外道としてよく釣れるのがクサフグ。板状の頑丈な歯でテグスを切り、内蔵はもちろん、身にも弱い毒があるので一般的には食用にならない。この厄介者のクサフグだが産卵行動は変わっていて、5月から8月初旬の新月と満月の日の3日後から3日間、満潮の2時間前から波打ち際に集まり、波が引くタイミングで放卵、放精する。クサフグの分布は日本全国だが、三浦半島の油壺、山口県の光市室積海岸、そして千葉県の小湊海岸が代表的な産卵場所として知られている。
 28年前、クサフグに興味を持ち、調べ始めたのは勝浦市に住む照川由美子さん(63)。小学校の教員だった照川さんは、友人に近隣の海岸で産卵行動を見たら知らせるよう頼んであった。そして8年前、報告されたのが興津海浜公園の人工の大きな敷石が並べられた防波堤の一角。「小石混じりで真水が入り込むなどが産卵の条件だと思っていたので驚きでした。多分、敷石での産卵はここだけだと思います」と照川さん。
 クサフグの産卵はまず偵察隊が安全を確かめる。それで安全だと分かると大群になって湾や入江に入ってくるのだ。たまたま船に乗っていた漁師が、川のように集団になって湾に入っていくのを見たことがあるそうだ。
 一昨年と今年6月、勝浦市から依頼を受けた照川さんを案内役として、観察会が行われた。平らな防波堤なので車イスでも入ることができるが、いかんせん産卵前のフグは過敏になっているので、産卵予定時刻前から、10メートルくらい離れた場所にじっとしていなければならない。
 最近は条件が悪化しているのか、かつては産卵していた他の入江で産卵行動を見かけたという連絡は全く無く、今後は観察会などをきっかけに環境について市民レベルで考えていきたいと照川さんは語る。来年の産卵シーズンに、沢山のクサフグが岸に押し寄せることを願いたい。

問合せ 照川由美子さん
TEL 0470・76・1371

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