旧家が所有する文化財と高度な技術の複製版画・冨嶽三十六景

 浮世絵の複製版画を手がけてきた高見沢家。高見沢家とは徳川幕府の家臣として使えていた旧家で、その子孫の兄弟3人が浮世絵の収集だけでなく、江戸時代の版画制作の技法をもって複製研究をしてきた一族。あまりにも高度な技術で、専門家でも本物と見分けがつかないと評されてきたほど。
 高見沢家が江戸時代と同じ製法で作った和紙や顔料を使い、葛飾北斎の復刻版『冨嶽三十六景』を昭和48年から数量限定で制作、販売したことがあった。「その殆どがアメリカに向けてのものでしたが、私の記念の財産になると思い購入しました。富士山が世界遺産になったのをきっかけに、期間限定で版画を展示公開して今年で3回目になります」と、いすみ市山田に住む林繁男さん。(82)
 林さんの家は築160年の長屋門のある立派な造り。裏山に偶然見つけた、いすみ市指定文化財の鍾乳石もある(山腹に横穴を掘った農業用貯水池になっているので、放流した時しか観覧できない)。300年以上前からの古文書も多く残っているような旧家で、地元の神社が合祀される際、譲り受けたという江戸時代に描かれた『合戦図』は、神功皇后と武内宿彌の三韓征伐の様子を描いたもの。横260㎝、縦108㎝の大きさで額も重厚感があり、民俗的にも大変貴重なものだという。
 林さん宅には他にも父親が着ていた羽織の裏地の額装や母親の帯地を屏風にしたもの、曹洞宗大本山永平寺七十八世貫主の書などがあり、林さんの家の歴史を感じさせる。これらの物は希望すれば見せてもらえるが、個人宅なので、必ず連絡をしてから伺うこと。
 次回、冨嶽三十六景の版画の公開は来年4月以降を予定している。

問合せ 林繁男さん
TEL 0470・66・1669
いすみ市山田1946

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