世代間バンドが月日を共にし、家族のような存在に

「ねぎバンバンのエンジンは思いやり!!」 ねぎバンバン

 千葉市緑区や外房を中心に活動している思いやりバンド『ねぎバンバン』。この一風変わった名前を、ギター担当でバンド代表の入野栄介さんは、「2008年、僕が別の仲間と土気創造の杜で開催されたサマーフェスティバルに参加することになり、ある焼鳥チェーン店でバンド名を考えていたんです。遊びで、お店のメニューを上げていくと妙にしっくり記憶に残りそうなものがありました。それがねぎバンバンだったんです」と説明して笑う。
 その後、バンドは解散。音楽を辞めようかと悩んでいた時に再会したのがギターの吉田寿宏さんだ。作詞・作曲を手掛ける入野さんは、以前ライブハウスで会ったことのある吉田さんに声をかけられバンドの存続を決意。「僕の音楽の恩人です」と信頼を寄せる。そこにベースの斉藤陽一さん、ギターの鈴木さん、キーボードの前田恭子さんが加わり結成したのが2011年のこと。「誰かがやろうよって誘いの声をかけた訳でもないんです。音楽イベントなどで顔見知りくらいだったのに、自然と、なんとなく始まったんですよ」と前田さんは思い出す。
 バンドのレパートリー曲は約50曲で、そのうちオリジナルは16曲。「初めに栄介君が作詞と作曲をして、毎週水曜日にやっている練習の時にギターで披露してくれるんです。各自ボイスレコーダーに録って、家でアレンジして出来上がっていきます」と話す斉藤さん。骨格となるメロディーのどの部分、どの音程に手を加えるかはそれぞれの感覚で。「僕は曲を披露した後の、最初の練習の時が一番緊張します。1人で作った曲がバンドになるとこんなにも変わるんだと、改めて感動することも多いですね」と入野さんも続ける。
 作曲する時はピアノの前や机でじっと考えることがほとんど。夢に出てきた歌をそのまま曲にしてみたことが一度だけあるというが、普段仕上がるまでには入野さんの努力が欠かせない。それらの曲はほとんどがポップスだが、最終的な仕上がりはメンバー次第。相手の音や声を聞いて、この部分に入れるな、と感じればコーラスを加える。それゆえに、入野さんの想像と違った完成となることもあるが、それで良い、という。「何度も練習して歌っていくうちに、あぁ、ここが好きだなって思うようになるんです」と前田さんが話す曲は、全員がヴォーカルを担当していて、斉藤さんの少し高めの声が重なると絶妙なバランスになる。誰かが面白いと思ったことは、みんなでその方向へ歩んでみる。そんな風に6年間歩んできた。
 そこまでお互いの『音』を信じることができるのも、信頼あってこそ。「メンバーは30から50代までと年齢層はバラバラです。信頼がなければとっくに解散していますよ。仕事や家庭と同じでそれぞれに役割があって、みんながうまくこなしています。前田さんは司令官で、斉藤さんは職人的安定感。鈴木さんはムードメーカーな所があって、私は鬼軍曹ね」と吉田さんが言うと、メンバーがすぐに笑って反応する。
 お互いの存在を『家族』のようだと口を揃える彼らは、結成してから一度も喧嘩をしたことがない。曲調だけでなく、ライブや練習への参加を縛り付ける者もいない。常に相談し合い、お互いを認めあう。それは身内だけでなく、外部の人間への対応にも反映されている。昨年参加した大原の『酒蔵まつり』では当日台風の影響で雨風共に強く、機材を守るために設置したテントさえ吹き飛ばされそうになった。色んなバンドが出演する中、メンバーたちは雨に濡れながらもテントの杭を守り続けたとか。
 また、毎年6月に開催されているイベント『土気ロック』は入野さんが主催するイベント。「20分ごとに演奏者が入れ替わるので、準備にかける時間もないんです。そんな中、12組のバンドが移動する機材などすべてメンバーが調整してくれました。文句も言わず、指摘もせずです」と入野さん。そんな思いやり溢れるバンド『ねぎバンバン』は毎月第2土曜日、千葉市緑区にある昭和の森(フォレストビレッジ)で夜7時半からライブを開催予定。夏場はキャンプ場への来場者が多く、特に盛り上がるという。ライブ出演も受付中。詳細は問合せを。

問合せ 入野さん
TEL O90・2444・0630

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】2024年4月『みんなとうたコンサート』にて 『南総ラ・ムジカ』は、オペラを愛する市民合唱団。睦沢町中央公民館で…
  2.  9月の森の中を歩いていると、遠目にも鮮やかな朱赤のキノコがありました。近づいてみると地面に白い卵のような壺、黄色いだんだら模様の柄、傘の裏…
  3. 【写真】つなぐ市にて、スタッフやボランティア、出店者の皆さん  ユニークなネーミングの『ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト』…
  4.  市原市根田にある浄土真宗本願寺派西光寺では、毎月『みんなの寺カフェ』が開催されている。副住職の吉弘一秀さんはこの活動について、「毎月様々な…
  5. 【写真】 小出市長と南雲氏の対談  市原市は、2026年からの新たな総合計画を策定するため、市民との対話をスタートしました…
  6. 【写真】撮影:影山惠子  来月9月23日から、ちはら台フォトクラブの創立10周年記念写真展が開催されます。同クラブは月1回…
  7.  動物たちを飼うには、彼らが生涯、安心して暮らせる環境が求められています。捨てられて保健所に捕獲されたり、個人の多頭飼育崩壊などで持ち込まれ…
  8.  国道297号線(大多喜街道)を牛久から大多喜方面に下って行き、米原ゴルフ倶楽部の先の右側の小高い丘の上、田圃にかかしが居ます。周りにロープ…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】つなぐ市にて、スタッフやボランティア、出店者の皆さん  ユニークなネーミングの『ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト』…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る