生まれ変わった古民家で木の香りを楽しんで

 2月8日(木)から12日(祝)にかけて、長生郡長南町の古民家で開催された『jazzyな木工フェス』。開催地の古民家は築100年の元中村青果店を、ウルトラ古民家防衛軍さんが大きくリノベーションして完成したもの。「ウルトラ古民家防衛軍は、古民家を後世に残したいと考える大工さん、職人、一級建築士によるプロ集団です。この1年でリノベーションしたのは、この物件を含めて5軒です。ニーズが高まり、やり甲斐を感じます」と、軍団員の長谷川朋之さん(51)は話す。
 彼はかつて都内在住だったが、住みやすさを求めて長南町へ移住した。今回『jazzyな木工フェス』と名付けた理由を「即興演奏のように、形状や木目模様、木材の持ち味から思いつきでアレンジする事を楽しみたいからです。廃材や流木だってアートですよ」と、長谷川さんは続けた。
 その通り、商品の置いてある長い木を縦に転換するだけで木目調や形の変化で印象が大違いだ。青果店時代は商品を陳列していたエリア、住居部分の洋室と和室があった。2部屋の壁を撤去したことで視界が大きくすっきりとし、沈下を修正し傾いていた家が水平になり、開かなくなっていた扉の開閉はスムーズになった。 展示スペースには、アンティークの小箪笥や化粧箱、陶器などがならべられている。彼らの古民家の持ち味を損なわず、古民家らしい魅力を高めるというモットーやセンスがリノベーションには必須事項。
 また、建築に限らず、調度品や暮らしへの提案に至るまでメンバーの趣味が活かされていて、この日は季節の木々が個性的に飾られ部屋が明るくなっていた。そしてストーブの上の焼き芋、木の香りが心地良く漂い、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる。
 来訪者も長南町内だけに留まらず、大網白里市や東金市などからと幅広く、「似たようなのが家にもあるけれど、木の色使いなどが断然味があるわね」などと感想を話していた。
 同時に開催されていたワークショップでは、実際にケヤキの木を使ってチーズボードや鍋敷きなどを制作。約230坪あるという敷地にはミニキャンプができる広場、その奥にはこんもりとした森の大自然。家の表は商店街通り、裏は森というギャップもたまらない魅力なのだとか。
 「今、空き家や古民家はとても多いです。古民家は持ち主にとっては不要な物かもしれませんが、反対に古民家に好んで住む人達もいます。少額で最低限のリノベーションをするだけで家屋は生まれ変わるんです。そんな、古い物件が好きな方々に楽しく住んでいただくことを主題にしていきたいです」と、長谷川さんは熱く語った。

問合せ ウルトラ古民家防衛軍長谷川さん
info@tomohasegawa.jp
http://kominka.tomohasegawa.jp/

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