救急車要請、ちょっと待って!子どもの症状、よく観察を

 10月27日(土)、茂原市保健センターで開催された平成30年度育児パパおとこ塾。平成27年度より始まった育児パパおとこ塾は今年で4年目を迎えた。第2回の(全3回)テーマは『こどもの救急講習会』。女性の参加もOKとあって市内外から集まった34名が、茂原市内の病院理事長、宍倉朋胤さんの話に耳を傾けた。
 長生地域の救急医療体制や医療機関を受診するか迷った時の対処法、子どもの誤飲や睡眠について語られた内容には、多くの情報が。「千葉県は全体的に医師が不足しており、過去には医師不足により救急医療体制が崩壊したこともありました。長生郡市広域市町村圏組合に医療民生課を設置し、夜間診療だけではなく、長生郡市内で子どもの救急講習会や中学2年生全員への心肺蘇生法トレーニングなどを実施しています」と話す宍倉さん。
 トレーニングをすることで、中学生の娘が心肺停止になった父を救ったという実例もある。また2008年をピークに人口は減少しているが、救急車の出動回数は増加しており、適正利用への協力を呼びかけた。そして、「休日や夜間の救急診療では受診者が増加しているため、医師が疲弊して当番医の継続が困難になってきています。決して利用しないでというのではないのです。救急を受診する必要があるか見極められると良いと思います。また、かかりつけ医を見つけておくこともオススメします」と訴えた。
 実際、平成29年度の小児の救急搬送のうち7割以上が軽傷だった。さらに医師の診断も通常の様子を知っている、かかりつけ医であれば子どもの小さな変化でも見逃しにくくなる。とはいえ、急な発熱やおう吐などに驚き慌ててしまうのは当然だろう。そんな時は、「まず千葉県小児科医会が発行する『こどもの急病・ケガガイドブック』のチェックリストを参考にしたり、毎日午後7時から翌午前6時まで受け付けている『こども急病電話相談』を頼ったりしてください」と、宍倉さん。
 同電話相談では、小児科医や看護師が電話で病院にかかった方がいいかアドバイスしてくれる。全国で試みているこの電話相談は13年前の開始時に年間千件に届かなかった問合せ件数が、去年は3万件、今年は4万件に達する見込みだとか。これからさらに寒くなり風邪をひきやすくなる。「インフルエンザの予防注射はいつ打つのが適正ですか」、「子どもが卵アレルギーをもっているが、インフルエンザの予防注射をしても大丈夫ですか」など、参加者の質問も現実味を帯びていた。
 第2部では、乳児用の人形やAEDを使って心肺蘇生法を学んだ。胸骨圧迫では予想以上に強く押し続けなければいけないことに驚きながらも全員が真剣な表情を見せていた。そして、「2歳半の子どもがいます。夜間救急に行ったこともあるので、とても為になるお話でした」と、参加者は満足そうに感想を話した。   

参考 こども急病電話相談 ♯8000 または
TEL 043・242・9939
毎日午後7時から翌午前6時

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