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茂原市に生きた豪農の歴史を知っている?
- 2019/1/11
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3月17日(日)まで茂原市立美術館・郷土資料館で開催されている第2回テーマ展『鶴枝の豪農 高橋家の人々』。高橋家は代々、埴生郡立木村(現茂原市立木)の名主、組頭など村役人を務め、後に大地主へと成長した家柄。立木村の領主から苗字帯刀を受け、地方支配の全般を担った。
「鶴牧藩政時代は、夷隅、長柄、埴生、山辺四郡、東上総領56ケ村を束ねる大庄屋を務めました。今回高橋家の展示会は、18年ぶりの開催です。展示品は総数44点、うち写真が11点あります。内容は、『立木村名主高橋家』や『旗本朝比奈氏と高橋家』、『高橋家の文化活動』や『東條一堂と千葉周作』と大きく4つに構成されています」と説明するのは、同美術館学芸員の岸波宗岳さん。
歴代の高橋家の肖像画を始め、高橋家の屋敷図、庭園図ほか、高橋家が領主である朝比奈舎人矩春より拝領した刀である長光、儒学者東條一堂が12代喜惣治有信に宛てた書簡なども併せて展示されている。「特に、多くの文化人が訪れたであろう高橋家の屋敷は、母屋を中心に土蔵、味噌蔵、料理場、武術稽古場、広大な庭園からなり、大地主としての風格を感じさせるとともに、現代にはない優雅な姿を見せてくれています」と、続ける岸波さん。
また15代当主喜惣治信實が私財を投じて刊行した『房総叢書』は、房総史研究の基本文献となっている。残念ながら第一次大戦の影響による物価の高騰や高橋家の火災によって予定されていた第3輯は刊行されなかったが、後に御成婚記念千葉県図書館(現千葉県立中央図書館)長を中心に編纂計画、刊行された『皇紀二千六百年記念房総叢書』(1940~1944全10巻・別巻1巻)や『改訂房総叢書』(1959全5輯・別巻1冊)へと繋がっていくものなのだとか。
また、高橋家の中には江戸の儒学者東條一堂(埴生郡八幡原村出身=現茂原市八幡原)の私塾「瑶池塾」で学問を、千葉周作の道場「玄武館」で剣術を学び、文武ともに優れた当主も現れた。江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した漢学者大槻磐渓や儒学者芳野金綾を始め、漢詩人の小野湖山、大沼沈山など多くの文化人とも交流を持っていたという。
明治10年代の自由民権運動期には板垣退助の厚い待遇を得て、自由党の設立を始め政治活動にも寄与した。教育の面では、茂原市内の鶴枝小学校や、長生学校(現千葉県立長生高等学校)の設立に貢献するなど、高橋家が地元で果たした役割は大きい。
茂原市に長く住んでいても、もしかしたら知ることがなかったかもしれない高橋家の人々。この機会に、地元に大きく貢献した歴史人を学んでみてはいかが。
問合せ 茂原市立美術館・郷土資料館
TEL 0475・26・2131
開館時間9~17時。観覧料は無料。