サクラの花の下 地域の心をつなぐ ~緑海まちづくり協議会~【山武市】

 山武市南部の海沿いに位置する緑海(みどりみ)地区。同地区を流れる木戸川の堤防沿いには、120本のカワヅザクラが植えられている。並木は同地区小松の小松交差点より上流へ約800m続く。木戸川周辺の環境整備を行っているのは、『緑海まちづくり協議会』。2月下旬から3月上旬、カワヅザクラが花の見ごろを迎える頃には、並木に沿ってタネを蒔いた菜の花も咲き揃う。毎春、色鮮やかなサクラのピンク色と軽やかな菜の花の黄色が多くの人々の目を楽しませている。

つどい・つながり・にぎわい

『地域まちづくり協議会』は、山武市が地域住民を主役とした地域自治を推進し、支援する施策。市内では現在、『緑海まちづくり協議会』と、『山武西まちづくり協議会』・『蓮沼むらづくり協議会』の3団体が活動している。
『緑海まちづくり協議会』は2015年11月より2年8カ月の準備期間を経て、2018年6月に発足した。同協議会事務局の小杉秀文さんはこの活動について、「実際には2011年の東日本大震災をきっかけに、地域の人と人との結びつきを強めるために何かできることはないかと考えたのが始まりです」と話す。震災時緑海地区では、木戸川河口堤防の崩壊による家屋の床上・床下浸水の被害が甚大で、避難所となった山武市立緑海小学校の校庭は車でいっぱいだった。現協議会役員で当時の同校校長・木津川洋一さんが避難所運営に獅子奮迅し、PTA会長を務めていた小杉さんも懸命に補佐に当たった。
 その後、現協議会会長の篠﨑修さん、2017年に亡くなった市議会議員の今関恒さんと小杉さんの3人で、地域を良くするために何が必要か、情報交換を行いアイディアを出し合っていたことが後の『地域まちづくり協議会』の設立につながった。協議会が掲げるテーマは「つどい・つながり・にぎわい」。設立準備会発足より6年が経ち、緑海地区区長会、社会福祉協議会をはじめ地元の様々な企業、団体、個人が個々の力を持ち寄り、地域活性化のため積極的に活動している。

さくらウォ~ク

 同地区の最大の行事は『緑海さくらウォ~ク』。カワヅザクラの花の季節に、同地区松ケ谷の勝覺寺を拠点に木戸川堤防までゆっくり歩きながら花見を楽しむイベントだ。境内では地元PTAや商工会などの協力で露店が並び、お汁粉がふるまわれ、野点で茶の湯に親しんだり、市立成東東中学校吹奏楽部のミニコンサートも楽しんだりできる。寺の本尊の釈迦如来と四天王像が安置される釈迦堂の御開帳も行われる。
 寺から川までの道は1・2㎞。参加者は先導の旗に従い、一斉に歩き出す。道は田んぼの中をまっすぐに伸び、花の盛りにはスタート近くから遠くに桜のピンクと菜の花の黄色の帯が美しく見えるほど。高台の堤防からの見晴らしは良く、天候の良い日には心地よい風が吹く。現地では甘酒も用意され、参加者は思い思いに春を満喫する。同協議会は、以前からカワヅザクラの世話をしていた齋藤秀雄さん(現役員)を中心とした有志グループと協力しながら、草刈りなど周辺の環境整備に力を入れている。

防犯防災フェスタ

 11月には緑海小学校を会場に、『防犯防災フェスタ』が開催される。津波に備え、小学校屋上へ上れるよう設置された階段を使った『校舎屋上避難訓練』、当日の来場者に記帳してもらい避難者名簿を作成する訓練、炊き出し訓練など、実地に即した訓練や体験ができる。その他にも警察・消防・自衛隊などの協力を得て様々な催しが行われ、毎回多くの人が訪れ会場はにぎわう。同地区には津波避難のための築山を擁した『井之内津波避難広場』が3月に完成の予定。海岸から松ケ谷方面に延びる市道も、津波避難道路として拡張工事が進んでいる。海に面し津波の危険と隣り合わせという地域の特性上、住民一人一人が防犯・防災に関する知識・体験を身近に得られる場として、『防犯防災フェスタ』は欠かせない機会だ。
 新型コロナウィルス感染拡大の影響で、昨春よりイベントは軒並み中止だが、また笑顔で集える日を地域の人々も心待ちにしている。小杉さんは、「学校行事や部活動が中止・縮小されなかなか思い出が残せない子どもたちのために、将来振り返って懐かしめるような 地域と結びついた何かをしたいと考えています」と、子どもたちの置かれた現状を思いやる。「地域にカワヅザクラを増やしたい」との思いから、苗木を配る準備も進めている。今後地域のつながりがさらに増すに従い、カワヅザクラもより多くの花を咲かせるようになるだろう。

問合せ:緑海まちづくり協議会HP
http://midorimi-tp.jimdo.com/
問合せ:山武市総務部市民自治支援課
Tel.0475・80・0151

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