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伝統の和紙で心に届く灯りを作ろう ~ゆっくり究める青葉文化講座「和紙角あんどんづくり」~【千葉市】
- 2022/11/17
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10月16日(日)、青葉の森公園芸術文化ホールで、伝統文化への興味関心を喚起し日常の中で身近に触れることを目指し「和紙角あんどんづくり」の講座が開かれた。講師は「光のアトリエPaperMoon」主宰の冬野朋子さん。小学生からお年寄りまで幅広い年代の受講者たちが、情緒豊かなあんどんづくりに挑戦した。
この日作るのは、15Wの白熱電球を和紙で囲った四角い形のあんどん。前半は配線作業から。裏にゴムの足がつき、コードの通し穴があいた底板や、電源コード、ソケット、各種ネジ、ドライバーなどが配布された。「おしゃべりOKです。お互い教え合ってくださいね。手を上げて下されば、飛んでいきます」。冬野さんのやさしい言葉掛けで難しい配線作業に取りかかる。
一番難しいのは、二股に分かれたコードの先にある端子をソケットにつなぐところ。ネジ止めする作業がなかなか上手くいかない。表と裏、左と右を間違えないよう苦戦しながら、2カ所の接続を終え、何とか全員合格。ところがここで、コードを底板の穴に通し忘れたことが判明、一旦ネジを外して付け直すことに。「大変!ごめんなさい!」と何度も謝る冬野さんだったが、再度の作業で受講者の理解が深まり一発合格する人が続出。二度目は随分早く接続できた。一度目は「えー、難しいよう」という子供の声が聞こえていたが、二度目の作業が終了するころには「配線めっちゃ楽しい」「ネジくるくる回すの楽しい」という小学生も。点灯テストは「一人でも失敗していたらショートして照明が全部消えます」と言う冬野さんの言葉に緊張の一瞬だ。パッとライトが灯って「おお、ついた!」と喜びの声。角あんどんの心臓部が完成した。
後半は本体を取り囲むシェード作り。使うのは種類の違う3枚の和紙。土台にする1枚は徳島県の阿波和紙だ。竹を原料にした白くてシルキーな紙で、骨組みがなくともしっかりと立っている。底板の角に合わせてぐるりを囲むように一旦折り目をつける。次に配られたのは非常に薄い和紙2枚。1枚は大中小3種類の丸型計12枚を切り抜き、オレンジやピンクの水彩ボールペンと水彩色鉛筆でバラの花を描く。水の筆でグラデーションをつけると、気持ちも次第に高まってくる。もう1枚の薄い緑の和紙は葉っぱ用。これらの薄い和紙を土台の和紙に散らすように貼って、秋のバラが浮かび上がるシェードが完成。「和紙は日本の大事な伝統工芸品です。高級な和紙は水に濡らしても簡単には破れません。この素晴らしい和紙を、現代の生活にもどんどん使ってほしいです」と話す冬野さん。
最後に、完成したあんどんを一斉に灯しての鑑賞会だ。描いた花を花束のように重ねて貼ったものや、バラの間に宇宙人や猫を潜ませるなど、ユニークな作品も。「わあ、かわいい」「ブラッドオレンジの色もきれいだねえ」など、あちこちで感嘆の声があがる。和紙を通して届く暖色系のやわらかな光が、人の心にも潤いをもたらすひとときとなった。
問合せ:光のアトリエPaperMoon
冬野朋子さん
Tel.03・5754・2637