日本初!農地でソーラーシェアリング

日本初!農地でソーラーシェアリング
バイオマス活用アドバイザー 市原市バイオマス利活用協議会委員 高澤 真さん

 東日本大震災以後、脱原発・代替エネルギーをと水力や風力、バイオマス、太陽光等を利用した自然エネルギーが注目を集めている。そうしたなか、太陽光発電というと住宅や企業の建物の屋根に取り付けるソーラーパネルを思い浮かべる人は多いだろう。ところが、今年4月、国内で初めて市原市で農地でソーラーパネルが設置された。取り組んだのは、市原市五井在住の高澤真さん(50)。都内で会社を経営しているが、鶴舞にある実家の畑に、太陽光発電と営農を同時に行うソーラーシェアリングをスタートさせた。
◆何故、農地で太陽光発電を?
「農村の活性化につなげたいと考えて。私の会社では、プラスチックの原料と成型(型にはめプレスで押して作ること)機械の販売及び輸出入を仕事としています。約15年前から、木粉とプラスチックを混合して成型する配合技術と成型機械に関わってきました。それがバイオマスプラスチックと呼ばれるようになり、私は一般社団法人日本有機資源協会の会合や視察研修に参加し、3年前に農林水産省の事業でバイオマスタウンアドバイザー養成研修を受け資格を取りました。これは、農村にあるエネルギーで農村振興していこうというもの。実家が農家だったので先進的な農業とバイオマスエネルギー活用の現場に触れることは、自然な形で将来的なビジョンを見出すきっかけとなりました。農村に若者がいないのは、経済面で成り立たないという理由が挙げられている。田んぼや畑をもっていても、現実は300坪1反の年収入は20万円から30万円。これでは、若者は離れていく。市原には広い農地と森林もある。この資源を活かして農村での3E、エコロジー(環境保全)エコノミー(経済の活性化)、エネルギー(自然エネルギー供給)について考えながら農村を元気にしていけたら。そんなことを考えている時に、川崎市のCHO技術研究所の長島さんという方が、市原市皆吉で彼が発明したソーラーシェアリングを実践している現場を見学させていただいた。そして、ソーラーシェアリングの太陽光発電が1反あたり年150万円の売電収入があることを知り、これだと思った。半分は設備費としても75万円の利益が得られる。しかも労働力は必要なく、周辺の草刈りやパネルの清掃ぐらい。ただ、東電との契約は20年。設備を償却して全ての利益を得るのに20年かかる。だから若い人たちに関心を持ってもらいたいのです」
◆しかし、1反あたり年に75万円の利益が得られるとしても、当初の設備費はどのぐらいかかるのですか。
「約1300万円かかりましたが、一度作れば手間はかからず収入が得られるのが良いと思います。非常時には太陽光で蓄電もできますし」
◆具体的に、ソーラーシェアリングとは、どのような工事を。
「うちの場合、750㎡の土地の3カ所(1~3号機)に348枚のパネルを。各々5メートル間隔で地上3メートルの柱を、1.5メートル打ち込み建てました。20メートルの強風でも問題ないということです。また、3カ所それぞれにパワーコンディショナーも」
◆ところで、国内でのソーラーシェアリングを取り入れている事例は?
「現時点では、まだ5例ほど。建設開始は10例ほどで関東で全量買取制度で竣工したのは、私の『ソーラーシェアリング上総鶴舞』が第1号。他の地域では愛知や三重など。パネルの下で野菜はよく育つのかと聞かれる方は多いですが、育ちます。デコポンなど果物を作っている例もあります」
◆農地の一角に展望台が。
「あれは自作(笑)。あそこから農地が一望できる。実家はここで300年農業に従事してきました。収穫した農産物は道の駅や、父が運営する297号沿いの直売所で販売している。祖父は昭和の初めに養老川から高台に治水事業をしたと聞いています。自分も、この土地を有効に利用し農村の環境や経済、エネルギーを考え実行する拠点にしていくつもりです。コミュニティーをつくりたいですね」
◆今回手がけたソーラーシェアリングの次に何か実践したいと考えていることは?
「私は市原市のバイオマス利活用推進協議会の委員もしており、市原にあるバイオマス、林地残材や放置竹林などを有効利用すること等を検討しています。竹を微粉にすると乳酸発酵する。これを畑にすき込むと有機質の土壌となる。今後は、こうした取り組みも広げていこうと思っています」

問合せ 高澤さん
TEL 0436・26・1663


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