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生き物の世界を守ろう
- 2016/7/1
- シティライフ掲載記事, 市原版

豊かな自然が溢れる市津
5月29日(日)、県民の環境活動支援事業からの助成を受けた風呂の前里山保存会が、市津公民館と共催で『子ども楽習館―里山の生き物観察』を行った。講師は県立市原八幡高校教諭の笠原孝夫さん。対象は小学校3年生以上の児童で、その保護者達も一緒に参加。そして同保存会会員と八幡高校理科部員が応援に駆け付けた。
まず、11名(児童6、大人5)の参加者は公民館の研修室で生き物について学んだ。近くを流れる村田川の生き物をスライドに写すと、児童たちからは「ハト」、「カルガモだ!」など素早い答えが飛び出す。「自然の中の生き物は食物連鎖の中で成り立っています。植物をバッタやミミズが食べ、それをトカゲやイモリが食べる。さらにそれをサギなどの鳥が食べます。その仕組みの大切さを知ってください」と笠原さんは説明する。
もともとは日本にいるはずのない外来種が入ってきたことによって、今まで築いてきた食物連鎖は簡単に崩れてしまう。特に多く見られるアメリカザリガニやミシシッピアカミミガメなどは人間の近くで生活していて、一度入ってくるとなかなか排除することができない。
研修室では、事前に運び入れた里山の土から小さな虫を見つけ、食物連鎖の一番下にどんな生き物がいるのか顕微鏡で観察した。「小さなムカデみたい。足がいっぱいあって怖い!」、「これってミミズの口かな」と子どもと一緒に顕微鏡を覗く大人達も夢中の横顔を見せた。
そして、一行は風呂の前里山へ徒歩で移動した。道端で見つけたスイカズラの花の甘い匂いを嗅いだり、笠原さんに駆け寄って生き物や花の名前を尋ねる子ども達。溢れんばかりの自然に囲まれた市津の木々が多くの生物のすみかになっている。キジやウグイスの鳴き声を聞きながら里山へ到着すると、今度はスコップを片手に土の中を探索開始だ。バッタやトカゲの他に、とても大きなカブトムシの幼虫が見つかると、「ちょっと肥満だね」という声とともに大人達からは小さな悲鳴も。
市原市下野から参加した母親は、「子どもは虫や魚が大好きです。学校では顕微鏡も一人が一台を使えるわけではないのでいい経験でした。夏休みの自由研究に生かせたらと思います。親のサポートには難しい部分もあるので、講座を上手く活用できました」と話す。
笠原さんは、「今日触った石や生き物は、すべて元通りにしてあげましょう。みなさん、カメやカブトムシを飼うのはいいんです。でも外来種の場合もあるので、決して途中で投げ出さず最期まで面倒をみてあげてください。また、生き物を飼わない人たちも、たくさん触って自然を味わいましょう」と最後に呼びかけた。図鑑で見て学ぶだけよりも、実際の生き物に触ってみれば名前だってきっとすぐ覚えられるはずだ。