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発達障害を通して、心と向き合ってきた
- 2018/4/19
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ココロサロン アン 遠藤 歩 さん
市原市辰巳台で『ココロサロン アン』を営む遠藤歩さん(36)。親子サポートを大きな目的としたサロンの代表を務め、心理カウンセラーを含めた数種の資格を保有している。サポート体制は多岐に渡り、子育て中の悩みやちょっとした愚痴さえ吐き出せる親向けの『おしゃべり会(毎月第2火曜)』や少人数制学習支援塾である子ども向け『あん寺子屋(毎週月曜日)』など。他にも、いじめを題材とした講演会やコミュニケーション、心理学を学べる講座も開催している。
「活動のきっかけになった出来事は、長男が小3の時にいじめにあったことです。アスペルガ―症候群とADHDがあるため、良くも悪くも素直。相手の気持ちを考えることが苦手です」と話す、遠藤さん自身も発達障害をもつ。長男の症状を学ぶうちに自身の過去に繋がるものがあり、カウンセリングを受けて初めてADHDと診断された。「私自身、確たる理由があったわけではないんですが、それまで人との関係構築が苦手でした。人は裏切る、面倒くさいという考えが根底にあったんです。でも、私がそうして人と距離を取り続けたら、長男の世界まで狭くなってしまうと気づいた」のだという。 そして、2010年に心理カウンセラーの勉強を開始。心を少しずつ理解することはできたが、自身の抱える悩みを相談できる相手はごく少数。行政の支援情報を充分に収集することは難しく、悶々と悩む日々が続いた。また、心理講座に通うための費用をねん出し続けることも主婦にとっては大変だった。
「そこで2013年9月に始まったのが『おしゃべり会』です。カウンセラーの卵として、色んな人の悩みを傾聴させてもらいました。無料ですので、旦那さんの愚痴でも大丈夫ですよ」と笑う、遠藤さん。彼女からは明るくて行動力もあり責任感のある女性という印象を受ける。だが、それが時に彼女を苦しめることもあったとか。「その一面を良く捉えてくれて、幼稚園や小学校で仕事を任されることはよくありました。でも、感情を抑えるのが苦手なので、やろう、言おうと勢いがつくと止まらないので苦労することは多々あります」と、続ける。
現在、同サロンには3名のスタッフがいる。みんなが発達、知的、身体に障がいを抱えていて、気持ちをコントロールできずにぶつかることも珍しくない。「遠藤さんと働いてみて、考え方に目から鱗が落ちる時がよくあります。私の子どもも発達障害のグレーゾーンですが、寺子屋に来て一緒に過ごすと、日々生活の流れに埋もれてしまうことも、子どもの頑張りや成長を汲み取れるようになりました」と話す、スタッフ。
『あん寺子屋』は2017年4月にスタートし、放課後に子ども達が訪れて宿題をしたり一緒に遊んだりして自由に過ごす。学校から当たり前に求められる『宿題』や『ルール』、『普通であること』。発達障害のある子どもたちが、「どうして?なんで?」と疑問に思うことに、最後まで根気よく一緒に答えを探し続けてあげることは、大勢の中では難しいのかもしれない。それが『あん寺子屋』では可能となる。
遠藤さんは、「彼らにとって、なぜかの理由や答えが必要です。でも、あまり聞き過ぎると大人は屁理屈、生意気と捉えられてしまう。ここでは、ひたすら彼らの話や疑問に付き合います。ただ、彼らで解決して成長もして欲しいので、話し合いにはノータッチです。もし答えが違ったとしたら、失敗すればいい。子どものうちにいくつもの選択肢を持つことを学ぶことが必要ですよね」と、話すのは自身の経験で学んだことが生きているからだ。実際に『あん寺子屋』では宿題を進んでやるようになった子や、きちんと謝るなど対人関係の構築改善など、成長を目にする場面が多くあるという。
同サロンは今後も活動を継続していくことが目標で、『おしゃべり会』は予約不要だが、『あん寺子屋』は見学を含めて要予約。『おしゃべり会』については辰巳台だけでなく、ちはら台南のキリンルームでも開催している。詳細は問合せを。
問合せ ココロサロン アン
TEL 070・1267・5598