縁起ものの凧を、もっと身近なものへ

 市原市在住の関氏彰さんは市原市凧保存会の会長として、市津運動公園や上総更級公園などで会員達と共に凧揚げや凧教室を開催し、凧の普及に尽力している。電線の増加などを理由に、凧上げは昔に比べて身近な存在とは言い難くなっているかもしれない。だが、最大縦横180㎝もある凧が風に乗ると、うなりをあげて飛び上がり、絵柄が青空によく映えて綺麗だという。
 「昔は5月5日の初節句に凧を揚げたんです。お酒や柏餅を振舞って、来るもの拒まず宴会をしました。凧には生まれた家の家紋や子どもの名前を入れたものです」と、関氏さんは懐かしむ。26歳の時に子どもが生まれ、職人に凧を作ってもらった関氏さんだが、30歳を過ぎてからは自分で制作するようになった。
 「少し興味が湧くと、自分で試したくなるんですよね」と、話す関氏さんは山に入って竹を採る所から作業。帆となる和紙に絵を描いて竹に貼りつけるのだが、なにより大事なのは集中力と一つ一つを丁寧にやること。「完成品の見様見真似だったので、初めこそ飛ばすことに苦労しましたが、そこはクリア。それよりも絵を描く時に色を滲ませないよう気を付けました」という。
 墨と染料を使って筆で描くため、ボタッと一滴落ちてしまえば台無しだ。今までに30枚以上の凧を制作してきたといい、中国の民間伝承に伝わる道教の神である『鍾馗』の図像や家紋、鯉など様々なものを描く。近年では、子ども用の凧に市原市のキャラクターであるオッサくんを入れることもある。
 そんな関氏さんは、凧以外にいくつもの趣味を持っている。自宅の納屋に置かれた大瓶に入っているのは、自宅近くで捕獲したというマムシだ。ブランデーとホワイトリカーに漬けて作るマムシ酒は漢方薬の作用がある上に、美味だという。「牛久近辺ではよく採れます。養物がすべて身体から出るように、1カ月は絶食させるのがコツです。脱皮をするマムシもいるので、そんな時は皮を財布に入れるんです。お金が出ていかなくなるそうですよ」と、笑った。
 他にもキノコ狩りに詳しく、自ら採取したというホウキダケや房総マツタケを手にしてはキノコ独特の匂いを嗅ぐ。色んな趣味から豊富な知識を手に入れたようだ。
 その中でも会長を務める凧保存会については、「どの団体もそうですが、凧保存会も後継者不足に悩んでいます。まずは、若い方も凧に触れられる場所に足を運んでみてください」、と真剣に語った。同会は11月10日(土)、11日(日)と上総更級公園で凧展および凧作り教室を開催予定。9~17時、参加費500円。また、来年1月27日(日)には市津運動公園にて新春凧揚げ大会を開催予定。

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