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ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 ムラサキケマン
- 2021/3/4
- シティライフ掲載記事, 外房版
- ふるさとビジター館

里山では紅紫色の花が咲き始める頃である。高さ20~50センチのケシ科キケマン属でムラサキケマン(紫華鬘)。「華鬘」とは仏前にいつも花が飾ってあるよう、花を模した仏具のこと。
ムラサキケマンの花は、長さ2センチ弱で淡~濃紅紫色の筒状花が総状につく。左右相称でうしろに突き出た距があるのはキケマン属の特徴。葉は2、3回複葉、細かく裂けた羽状。花茎先端の花が開くころ、下の花はもう蒴果をつけている。
春に種から芽生えた苗は花が咲かないまま、夏を過ぎると地上部だけ枯れる。
秋にまた芽生え、葉を地面に平らに広げて冬を越す。翌春になると花茎を伸ばし結実して枯れるという2年草。木陰や湿り気のある所ではワンサカ生えるありふれた野草の一つ。
あまりにも見慣れてスルーするも、名前を知る人は少ない。まして、全草が有毒ということを知る人はもっと少ない。生育場所や葉の形が非常によく似た山菜があり注意が必要。花が咲けば容易に区別できるものの、食用にする頃の若葉では非常に難しい。ケシ科の野草は有毒が多く、薬用に使われるものもあるがムラサキケマンに薬効はない。
有毒植物という危険が身近にあるのも、自然が豊かであればこそ。いつまでも大切に残していきたい。
(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)
ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。市原の豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。 Tel.080・5183・9684(野坂)