『溶接人杯』でグランプリ受賞

鉄に思いを込めて
『溶接人杯』でグランプリ受賞

 リタイヤ後の趣味として始めた溶接作品づくり。市原市北国分寺台に住む木下宏昭さん(70)が長柄町のアトリエ『きの鉄工房』で鉄と向き合って7年が過ぎた。作業中は「友だちはラジオだけ」と笑う木下さんは、今年、日曜大工ならぬ日曜溶接を楽しむ人たちのコンテスト『第5回溶接人杯』(スター電器製造株式会社主催)に腕試しにと作品を出品した。
 そして、東日本大震災を経験し、一日も早い復興を願う気持ちを込めた作品『急がねば、再生』は、ネット投票を経て最終5作品に残り、神奈川県鎌倉市の会場に展示され、来場者と審査員の投票により見事グランプリを受賞した。
「最終5作品に残った時点で気持ちは大満足でした。雨風で傷んだ巣を女郎蜘蛛が再生しようとする様に、いまだ復興が進まない被災地が早く再生されるよう願いを込めて製作しました。微力ですが、作品を見て少しでも勇気を持ってもらえればうれしいです」と話す木下さんだが、80センチほどの大きさにしては、鉄で表現した蜘蛛の糸が細くインパクトが弱いのではと心配したという。しかしその心配は杞憂に終わった。審査員からは、鉄で作ったとは思えないその蜘蛛の巣の柔らかさと、細かい作業を施した女郎蜘蛛とのバランスの良さが高い評価を得た。
「これまでひとりでコツコツと作品づくりを続けてきましたが、グランプリをとれたことで溶接をされている方々とつながりができ、仲間が増えるのではと感じることができました」。そして、「私が死んだら作品たちはただの鉄くずです。もし欲しいという方がいて、私と同じくらい、それ以上に大事にしてもらえるのならお譲りしてもいいかなと考えが変わった」という。
 そこで、7月1日(月)から7日(日)まで、御宿町のギャラリー『カッテンマ』で、彫金・七宝歴40年という奥様喜代美さんと『初めての二人展』を開催することを決めた。喜代美さんの銀・銅・七宝・ボトルの作品と、クスッと笑えるおかしさを作品に込めてきたという木下さんのチャーミングな鉄のオブジェの共演だ。「かみさんのほうがキャリアが長いので、私の作品の影が薄くなってしまう(笑)」と話すが、木下さんの作品づくりに拍車がかかることは間違いないだろう。

問合せ 木下宏昭さん
TEL 080・5411・1165

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