カガミで古墳時代の人々の心を探る

カガミで古墳時代の人々の心を探る

11月24日(日)まで、袖ケ浦市郷土博物館で秋の企画展『上総の古鏡―カガミが語る古墳時代の心と形』が開催されている。日本の古墳時代を代表する出土遺物に銅鏡があるが、全国的に約5000面以上の存在が知られるなかで、千葉県で110面以上が確認されており、そのうち上総地方では約3分の2にあたる75点が出土している。
「今企画展の大きな目玉は袖ケ浦駅北口にある水神下遺跡で発見された重圏文鏡と小銅鐸。この2つが同時に同じ遺跡から発見されたのは袖ケ浦が初めて。ぜひその目で見て欲しい」と話すのは、企画担当者である諸墨知義さん。並べられた銅鏡を愛おしげに眺めながら、諸墨さんは続ける。「最近は銅鏡の種類や大きさによって、用途や持っていた人間の地位が分かるようになってきた。千葉では全長100メートルクラスの古墳はほぼ未調査なので豪族層の実態はよく分かっていない。が、出土する銅鏡の特徴から北部九州や瀬戸内の風習と似たものもあり交流や運ばれた由来が想像される。また中国では主に化粧道具として作られたが、日本では古墳に入れて葬式用具や副葬品として使用したので一代でなくなってしまった。その他に豪族の権力を誇示するブランド品として、そして邪悪なものをはねのけるマジカルな道具としても扱われていた。銅鏡は小銅鐸と入れ違いに南関東に入ってきたが、ヤマト王権が『天』に対する信仰を普及させるため配ったという見方もある」
大きさは一般的に中国鏡である舶載鏡は24センチ以下だが、日本製の倭鏡では30から40センチの超大型鏡も好んで作られたという。銅鏡の裏に描かれる文様も基本は同じだが時代により変化していった。「中国鏡は神仙思想を図像や吉祥句という文章で表現したが、倭鏡は漢字が文様のようになったり、時代が下がるにつれて神像、龍、虎などがイモムシや勾玉、記号のように変化してしまっている図像が多く見られる」と諸墨さん。
名称は特徴から名付けられるため、『捩文鏡』、『三角縁神獣鏡』、『海獣葡萄鏡』など一見難しいものが多い。だが、名前を頼りにどの文様がそれに当てはまるのかと探すのも楽しそうだ。現在は神社や文化財関係で鋳造による銅鏡の製造も行われているが、そのルーツとなった古代の文化に触れてみるのも興味深いだろう。
企画展では、関連イベントとして10月27日(日)13時から勾玉作りを行う予定で、申し込み不要、当日同館へ。また同27日(日)と翌11月16日(土)10時からと15時からの2回、ミュージアムトークを開催する。

問合せ 袖ケ浦市郷土博物館
TEL 0438・63・0811
http://www.sodegaura.ed.jp/sodehaku/index.htm

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】日展 彫刻 2023年  都内六本木の国立新美術館にて、11月1日(金)から24日(日)まで『第11回日展』が開催…
  2.  秋の里山では、山の幸クリの殻斗(いが)の棘が茶色く変わり始め目立つようになる。葉が覆い茂っている林では見分けにくい。花が咲く6月と殻斗が割…
  3. 【写真】初日に行われる華やかな「時代絵巻行列 山鉾・山車の巡行」  10月5日(土)、6日(日)に市原市更級にある上総更級…
  4.  いすみ市大原駅近くにある、工芸品の展示販売を行う古民家ギャラリー『北土舎(ほくとしゃ)』他で、特別展『琉風(りゅうかじ)』が開催される。1…
  5. 【写真】Frederic Edward Weatherly『Peeps into Fairyland(妖精の国を覗き見る)』 …
  6.  市原市アーチェリー協会主催の1日体験教室『60歳からのアーチェリー』が10月16日(水)に開催されます。場所はゼットエー武道場。県内でも数…
  7. 【写真】お店の前で。『十五や』のTシャツを着た藤本さん(後列中央)と田頭さん(右隣)  緑豊かな市原市東国吉で、県道21号…
  8. 【写真】本祭の武者行列で本田忠勝に扮する渡辺正行さん  第50回大多喜お城まつりが10/12(土)・10/13(日)の2日…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】本祭の武者行列で本田忠勝に扮する渡辺正行さん  第50回大多喜お城まつりが10/12(土)・10/13(日)の2日…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る