調合した花々と季節をともに過ごす
- 2013/12/6
- 市原版
調合した花々と季節をともに過ごす
アメリカンフラワー作家 高山 定子さん
クリスタルな輝きを放ち、造花とは思えないほど繊細な花びらをもつ『アメリカンフラワー』をご存じだろうか。アメリカンフラワー作家である高山定子さん(57)は創作を始めてから15年以上が経った。「一番下の子どもが幼稚園に入り少し手が離れた頃、友達とショッピングモール内で行われていたカルチャー講座に参加したのがきっかけだった。4、5年は教科書に添って学び、その後自分の趣味として独自に製作している。小さい頃から、細かいものや何かを作るのが好きだった。中学校で手芸クラブに在籍していた時に一度アメリカンフラワーに触れた経験があり、ずっと興味はあった」と話す高山さん。
専用の液にワイヤーを沈めて葉を手早く作っていく目は真剣そのものだ。アメリカンフラワーとは、細いワイヤーをゲージと呼ばれる円筒を使って適当な大きさの輪に作り、アクリル樹脂のディップ液に浸し膜を張ることで色を付ける。膜が乾くのに15分ほど。花びらは中心から外側に向けてテープを使い貼り付けていく。仕上げに強化剤であるストレンスナーに潜らせ完成だ。だが、一見簡単そうに見えても「液は空気に触れることで少しずつ固まっていく。薄め液を入れて緩くしすぎると膜が破れやすくなることもある。
また色々なバリエーションを出すためにスプレーを使ったり、ビーズを振りつけることでリアルさを出すなど加工もしている。ワイヤーもシルバー、ゴールドと白があり花によってはワイヤーの色をそのまま残すことでより映えるものもある」という。気候にも左右されやすく、湿気が多いと乾きにくい。状態に変化がでやすい繊細という部分においては生け花そのもの。だが、自身で調合することで色の変化が起こり、ワイヤーで形を独自に工夫したりと、同じ物が出来上がらないこその物作りの楽しさがあるのは確かである。
バラ、あじさい、シクラメン、チューリップと色々な種類の花を手がけてきた高山さんが最も嬉しかったのは、「私の作品を手にとって本当に喜んでもらえた時」であるという。確かに、枯れることのないリアルな花はプレゼントとしても最適であろう。レインボー色に染められたバラも独特の雰囲気を放っている。初めてアメリカンフラワーを見れば、可憐な花びらに思わず触れたくて手を伸ばしてしまうに違いない。
「作品は辰巳台にあるギャラリー四季で販売を行い、注文も受け付けています。また同ギャラリーでは月に1回教室も開いています。普段、私はまとめて花を5、6輪作るけれど、教室では大体2時間くらいで1本を製作。季節に合わせて花を変えたり、アレンジして小さめのものにしたり。私の好きな色はアジサイの紫、水色、ピンクなどで好みによって作る頻度は増えたりもするかな。でも同じバラでも種類を変えるだけで楽しい。手先の器用さに関係なく、みなさん上手に作られます」と高山さんは続ける。
そして、「自分で始めるには、最初の段階で少し必要経費がかかる。買ったからこそすべて使い切ろうとしている間に私は15年が経ってしまった」と朗らかに笑う高山さんだが製作上で困難を覚えたこともある。「手間のかかる作業のため、家の中に数日間広げっぱなしになることもあるし、ディップ液はシンナー臭さを持つのでニオイにも気を遣った。仕上げのスプレーやストレンスナーは屋外でやらないと特にニオイがきついので冬場は本当に寒い。また作品のなかでも、お正月用にとても大きなカトレアを製作したことがあるが、ワイヤーが複雑で大変だったのを今でも忘れない」という。
だが、高山さんのアメリカンフラワー製作における花への想いが途切れることはない。「講習で習っていた時は、展示会があって自然と提出する機会があったが、自分でやっているとなかなか挑戦する暇もない。でも、最近は大きな花器を使ってたくさんの花々を生けてみたい、つまり華道の造花版みたいなものをやりたいと考えている。それに桜が大好きなので、作りたいと思う。量がかなり必要だし大変だろうけど、挑戦したいことがたくさんある」と瞳を輝かせた。
問合せ ギャラリー四季
TEL 0436・98・4133
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