レストランで

遠山あき

 たまにレストランで食事をすることがある。年寄りだからしつこいものはだめ、そしてご飯がいい。今日は「オムライス」に決めた。
 やがて美味しそうなオムライスが来た。「えー、こんなに沢山!」 型に盛り上げたライス、九十歳以上の私はとてもこんなに食べられない。でも仕方ない、注文したんだからと食べ始めた。半分ほどようやく食べた。しかし、あとはいくら努力しても食べられない。メニューの写真もこれと同じ量だったから、文句は言えない。恨めしくて眺めていた。
 その時、隣の席に高校生くらいのガッシリした体つきの男の子が座った。横目で私のオムライスを見た。(美味しそうだ)と思ったのだろう、「オムライス、ラーメン、水」と言った。そして水をゴクゴクと飲んでしまうと、やがて注文の品が運ばれてきた。ラーメンの汁を美味しそうにすすり、オムライスにかかる。スプーンが休みなしにライスを口に運ぶ。その間にラーメン。あっという間にオムライスの皿が空になる。残り惜しそうに皿の飯粒を拾って口に入れる。本当にアッという間だ。残っていたラーメンも汁まで綺麗に平らげた。育ち盛りの若者の健啖さに脱帽だ。まだ満足した様子ではなかったが、さらに水を飲んで、彼はさっさと出て行ってしまった。
 メニューの説明写真は同じ種類が一つだけで、誰が頼んでも同じ物がくる。金が惜しいわけではないが、私が頼んだライスの残りはこのまま捨てられてしまう。食材はみんな農家の人が汗を流し丹精して作ったものだ。米、玉ねぎ、肉、卵、ケチャップ等々。食べられない私が半分残した分は今日の生ゴミで捨てられる。そしてゴミ収集車で運ばれ、焼却されてしまう。車代、焼却代、人件費、いずれも焼かれてしまって灰になる。
「ああ、もったいない。資源と手間の無駄な消費だ」 恨めしく食べ残したオムライスを睨んだ。持って帰ることも無理だ。
 もし、オムライスに、シニア向きとか、洒落て「アイアン(若者向き)」とか付けて、あらかじめ量を指定したらどうだろう。無駄もなくなるし、客も安心して注文できる。そして無駄な資源や費用の浪費もなくなる。これ、老いのたわごとかもしれないが……。

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