房総往来

和紙のファンタジー 山里吾郎

 星ご夫妻との出会いは20年前にさかのぼる。市原市島野の児童養護施設を取材で訪れた。そこで接した子どもたちの澄み切った美しい歌声。暑い時期でもあったのか、汗を浮かべながら懸命に演奏し、歌い、踊る子どもたちに大きな感動を覚えた▼指導していたのが園長の星一男さん、これをサポートし母親以上の大きな愛情と、温かい眼差しで見つめる鏡子夫人。まさに夫唱婦随、ぴったりと息を合わせて子どもたちを包み込む、お二人の姿にすっかり魅せられた▼それから数日後、市民会館の小ホールは500人のキャパシティを超えるほどの観客で埋まった。平和園の「手づくりコンサート」。タイトル通りこれもすべて手づくりの素敵な舞台衣装を着けた子どもたちが奏で、歌い、踊る。プロの舞台とは全く違う、透き通るような感動が観客を魅了した▼当時の星園長は音楽家でもあった。作詞作曲した「はばたき」「養老川抒情」は子どもたちの澄み切った歌声にぴったりの名曲だった▼それからも交友は続いていたが、この6月、久しぶりに取材対象としてお会いしたかづを(一男)さんは和紙絵作家として新境地を開いていた。鶴舞の上総更級美術館に展覧された作品は通常の日本画や油絵とは趣を異にしたファンタジックなものだった▼「繊細な和紙をいったん漉き状に戻し張り合わせる。作品のイメージで厚くしたり薄くしたり。色も混ぜ合わせて…」。自分で編み出したオリジナルな手法、なぜかここでも透明感が会場いっぱいに包み込んでいた。鏡子夫人はやはりサポート役に徹しながらも存在感を漂わせる。20年の歳月は芸術のジャンルこそ変えたがお二人の底流は一緒だった。

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