努力の積み重ねが力に
- 2014/7/11
- 市原版
プロバスケットボール選手 星野 拓海さん
市原市在住の星野拓海さん(23)が今年2月、プロバスケットボールチーム、千葉ジェッツの選手に昇格した。背番号は3番、ポジションは高いシュート力とドリブルの技術が必要とされるスモールフォワード。2013年2月から千葉ジェッツのサテライトチーム、千葉エクスドリームスに練習生として入団していた。「一生忘れられない」と話すのは3月1日の対つくばロボッツ戦。終盤でプロとして初の出番が回ってきた。星野選手より2週間前に、同じく練習生からプロへ昇格していた石井講祐選手からのパスをうけジャンプシュート。プロ初得点を見事に決めた。「出番が来ればいつでもシュートを決めてやるという気持ちでした」が、プレッシャーもあり「今までで一番緊張しました。無我夢中で声援も全く聞こえなかった」と振り返る。
筑波大学を卒業し練習生としてプレーしていた1年間は、どうしたら必要とされるかを考え過ぎるあまり自分を見失いそうになっていた。先が見えず、心が折れそうな時間を共に励まし、夢を語りながら乗り越えてきたのが石井選手だった。「石井さんが先にプロ入りし、悔しさと同時に希望が見えた。自分も選手に選ばれた時は夢を諦めないでよかったと思いました」試合を意識したメニューやフォーメーションの練習をし、いつでもコートに立てるように準備していた。昇格を告げられた時は「嬉しいというより早く活躍したいと思いました」
高校バスケをテーマに描いた少年漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』の影響で小2の時にバスケットボールを始めた。中2で千葉県選抜メンバーとしてジュニアオールスターに出場し、準優勝。中3では、在学していた市立有秋中学校が全日本中学バスケットボール大会の関東大会へ進出した。その後、市立船橋高校に進学。デビュー戦で3ポイントシュートを13本も成功させるなど、当初から華々しい活躍が目立っていた。高校卒業後は念願の筑波大学に進学したが、「高3の夏から1年間で2回も骨折し、リハビリに半年費やしました。大学に入りたてで一人暮らしにも授業にもまだ慣れていない時期。周りが前に進む中、もどかしい日々を過ごしました。足の小指にはまだボルトが入っています」だが苦難の合間をぬうように、新人戦と2010年の1部リーグ戦で優秀選手に選ばれるなど好成績を残している。
中学時代には生徒会長、高校と大学ではキャプテンを務めた。「人を引っ張っていく力はあります!」と自信ありげに答える。入学した当時、星野選手の代は周りからあまり期待されていなかったという。4年目、キャプテンという立場で「見返してやりたいという思いから、チームの改革に踏み切りました。時間にルーズだったチームメイトの意識改革やトレーニング方法の見直し、話し合いの場もたくさん設けました。結果、4年間で一番いい状態に持っていくことができました」との言葉通り、4年ぶりにチームを全日本総合バスケットボール選手権大会(オールジャパン)への出場に導いた。3回戦で敗れたものの、当時JBL所属の上位チーム東芝神奈川との対戦ができたことはチームにとって非常にいい経験となった。
バスケ以外に好きなことは「食べること。おいしい店を探して歩きます。餃子が好きで、石井選手と2人で8人前を平らげたことも。アウェイの時に地方の名物を食べるのが楽しみです」と人懐っこく笑った。千葉ジェッツが千葉ジェッツ.EXEとして参戦中の3人制バスケットボールのトップリーグ『3×3PREMIER.EXE(スリーバイスリープレミアドットエグゼ)2014』で現在、活躍中。「試合経験をしっかりと積みたい。プロ選手として恥じないようなプレーをし、優勝を狙います」と7月の開幕前に意気込みを語った。
意志は強いと自負する星野選手。勉強も好きで、中学の頃から毎日コツコツと努力するタイプだった。「それがバスケにも生きている。積み重ねが力になると信じています」上を目指して頑張っている子供たちへ「辛いことがあっても、自分で決めた目標を貫いてほしい」とエールを送る。
2013年に始動したNBL(ナショナルバスケットボールリーグ)。来シーズンは10月に開幕する。「大事な場面でゲームに出場し、流れを変えたり点を取ったり、勝利に直接貢献できるような活躍をしたい」星野選手の勇姿は10月18日ジェッツのホーム、船橋アリーナで。