努力の積み重ねが力に

プロバスケットボール選手 星野 拓海さん

 市原市在住の星野拓海さん(23)が今年2月、プロバスケットボールチーム、千葉ジェッツの選手に昇格した。背番号は3番、ポジションは高いシュート力とドリブルの技術が必要とされるスモールフォワード。2013年2月から千葉ジェッツのサテライトチーム、千葉エクスドリームスに練習生として入団していた。「一生忘れられない」と話すのは3月1日の対つくばロボッツ戦。終盤でプロとして初の出番が回ってきた。星野選手より2週間前に、同じく練習生からプロへ昇格していた石井講祐選手からのパスをうけジャンプシュート。プロ初得点を見事に決めた。「出番が来ればいつでもシュートを決めてやるという気持ちでした」が、プレッシャーもあり「今までで一番緊張しました。無我夢中で声援も全く聞こえなかった」と振り返る。
 筑波大学を卒業し練習生としてプレーしていた1年間は、どうしたら必要とされるかを考え過ぎるあまり自分を見失いそうになっていた。先が見えず、心が折れそうな時間を共に励まし、夢を語りながら乗り越えてきたのが石井選手だった。「石井さんが先にプロ入りし、悔しさと同時に希望が見えた。自分も選手に選ばれた時は夢を諦めないでよかったと思いました」試合を意識したメニューやフォーメーションの練習をし、いつでもコートに立てるように準備していた。昇格を告げられた時は「嬉しいというより早く活躍したいと思いました」
 高校バスケをテーマに描いた少年漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』の影響で小2の時にバスケットボールを始めた。中2で千葉県選抜メンバーとしてジュニアオールスターに出場し、準優勝。中3では、在学していた市立有秋中学校が全日本中学バスケットボール大会の関東大会へ進出した。その後、市立船橋高校に進学。デビュー戦で3ポイントシュートを13本も成功させるなど、当初から華々しい活躍が目立っていた。高校卒業後は念願の筑波大学に進学したが、「高3の夏から1年間で2回も骨折し、リハビリに半年費やしました。大学に入りたてで一人暮らしにも授業にもまだ慣れていない時期。周りが前に進む中、もどかしい日々を過ごしました。足の小指にはまだボルトが入っています」だが苦難の合間をぬうように、新人戦と2010年の1部リーグ戦で優秀選手に選ばれるなど好成績を残している。
 中学時代には生徒会長、高校と大学ではキャプテンを務めた。「人を引っ張っていく力はあります!」と自信ありげに答える。入学した当時、星野選手の代は周りからあまり期待されていなかったという。4年目、キャプテンという立場で「見返してやりたいという思いから、チームの改革に踏み切りました。時間にルーズだったチームメイトの意識改革やトレーニング方法の見直し、話し合いの場もたくさん設けました。結果、4年間で一番いい状態に持っていくことができました」との言葉通り、4年ぶりにチームを全日本総合バスケットボール選手権大会(オールジャパン)への出場に導いた。3回戦で敗れたものの、当時JBL所属の上位チーム東芝神奈川との対戦ができたことはチームにとって非常にいい経験となった。
 バスケ以外に好きなことは「食べること。おいしい店を探して歩きます。餃子が好きで、石井選手と2人で8人前を平らげたことも。アウェイの時に地方の名物を食べるのが楽しみです」と人懐っこく笑った。千葉ジェッツが千葉ジェッツ.EXEとして参戦中の3人制バスケットボールのトップリーグ『3×3PREMIER.EXE(スリーバイスリープレミアドットエグゼ)2014』で現在、活躍中。「試合経験をしっかりと積みたい。プロ選手として恥じないようなプレーをし、優勝を狙います」と7月の開幕前に意気込みを語った。
 意志は強いと自負する星野選手。勉強も好きで、中学の頃から毎日コツコツと努力するタイプだった。「それがバスケにも生きている。積み重ねが力になると信じています」上を目指して頑張っている子供たちへ「辛いことがあっても、自分で決めた目標を貫いてほしい」とエールを送る。
 2013年に始動したNBL(ナショナルバスケットボールリーグ)。来シーズンは10月に開幕する。「大事な場面でゲームに出場し、流れを変えたり点を取ったり、勝利に直接貢献できるような活躍をしたい」星野選手の勇姿は10月18日ジェッツのホーム、船橋アリーナで。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  今やサーファーの聖地となった長生郡一宮町には、上総国一ノ宮の『玉前神社』(たまさきじんじゃ)が長い歴史と共に鎮座する。ご祭神は神武天皇の…
  2. ◆一席 若者の人生曲げる闇バイト 大網白里市 渡辺光恵 ・世渡りは適度に自説曲げ伸ばす 東金市 伴里美 …
  3. 【写真】スパリゾートハワイアンズ・ウォーターパーク ●千葉県立美術館開館50周年記念特別展「浅井忠、あちこちに行く~むすばれる人、つながる時…
  4. 【写真】五井小の歴史をたどるスライドショーの冒頭、紹介する子どもたち  昨年と今年は、創立150周年を迎える小学校が多数ある。1872年の…
  5.  冬の使者と呼ばれるハクチョウ。シベリアなどから北海道を経由し、冬鳥として日本へ広く渡って来る。近年、地球温暖化の影響で、繁殖期と越冬期が暖…
  6. 【写真】坂下忠弘  来春3月2日(日)、市原市市民会館・小ホールで開催される『いちはら春の祭典コンサート2025』。市原市…
  7. 【写真】千葉県立中央博物館・御巫さん  11月24日(日)まで、千葉県立中央博物館で開催されている『二口善雄 植物画展』。…
  8. 【写真】川口千里(左)、エリック・ミヤシロ  日本を代表するトランペット奏者、エリック・ミヤシロを迎え、いま最も注目を集め…
  9. 【写真】うたと語り「今、この町でこの歌を」  毎年、夏に開催される『市原平和フェスティバル』。平和への祈りとメッセージが込…
  10.  今回は「映画音楽」特集の第1回。良い映画では必ず、音楽・主題歌が感動を与えてくれます。テレビCMでも使われる名曲もあり、何処かで聞いたこと…

ピックアップ記事

  1.  今やサーファーの聖地となった長生郡一宮町には、上総国一ノ宮の『玉前神社』(たまさきじんじゃ)が長い歴史と共に鎮座する。ご祭神は神武天皇の…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る