ふるさとビジター館

いちはら自然探訪no.114
赤い胸飾り　クコ

　川の土手や道ばたあたりを歩くと、小さな赤い実が見られる頃になってきた。ナス科クコ属の落葉低木クコ（枸杞）だ。８月から咲き始めた淡紫色の花は大きさ１センチほど。日当たりの良い海岸、土手、林縁、道端によく見られるという。
　小さな緑色の実はやがて大きさ１～２センチの卵形に赤く熟す。枝から垂れ下がる実は、陽に照らされるとブローチかペンダントのように輝く。食品店にある外国産の乾燥クコからは想像できない。花は１０月ごろまで次々と咲き続ける。
　葉は互生で２～４センチの楕円形、枝先は節間が詰まり束生状になる。細長くしなやかな枝には稜があり刺もある。ほふく茎を伸ばし、株を次々と作って繁茂する。草刈りが行われるところでは腰の高さぐらいしか育たないが、そのままだと２メートルぐらいになる。
　若葉や果実は食用になり、クコ茶やクコ酒などに使われる。平安時代、すでに生薬として漢方や民間薬に使われている。薬膳という言葉が広まり、薬効のある食材が健康志向の人たちに見直され、テレビで紹介される薬膳料理には赤いクコの実がよく使われる。
　市原の豊かな自然の一端を現しているクコは、埋め立て前の海辺ではよく見られたのだろうか、河口出口の潮風に洗われるところでも見られる。今では薬用植物としての役割は減り、実を採取する人もない。もっぱら野鳥のエサになっているものの、きっと国分寺が建てられた時代から脈々と受け継がれたのではないかと思いを馳せる。自然を愛好する者として、大切に残していきたい。

ナチュラリストネット／野坂伸一郎

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

2025/2/21
シティライフホームページ　移行のお知らせ

当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が１／31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
2025/2/14
懐かしのシネマ～石原裕次郎～

　昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕９０年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
2025/2/13
「小湊鐵道を撮る仲間たち展」出展作品募集【市原市】

　鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年６月５日（木）～６月１０日（火）に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
2025/2/8
小湊鐵道と市原湖畔美術館がコラボしてオリジナルグッズを開発したい！～小湊鉄道開業100周年を記念してクラウドファンディング挑戦中～【市原市】

　今年は小湊鐵道開業１００周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
2025/2/7
成田の梅まつり　２月１５日（土）～３月２日（日）開催【成田市】

　成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、１６万５０００平方メートルもの広大な公園。四季折々…
2025/2/6
個人でパキスタンへ、農業支援ボランティアを～青葉台在住　田中達郎さん～【市原市】

【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん（前列右端）　　　　３６年間の市議会議員のあと、パキス…
2025/1/30
読者投稿お好きに川柳～お題：あまい～

　　　 ◆一席　記念日を遅れて祝い根にもたれ　　一宮町　黒猫胡桃　　　・老プランあまく見積り火の車　　茂原市　道譯賢…
2025/1/23
人を理解し大切にしながら、一緒にこの町で生きていこう～市原市人権・男女共同参画フォーラム～【市原市】

【写真】講演する家田さん　　　　昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和６年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
2025/1/17
芝山町のシンボル！はにわが国の重要文化財として指定【芝山町】

【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪　　　　　　昨年８月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪（総数４８点うち殿塚古墳３０点、…
2021/5/13
シティライフ編集室　公式Instagram　好評配信中！

シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…