もしもコンサート中に大地震が起きたなら

 東日本大震災が起きてから今年で4年が経つ。その間にも、広島の土砂災害や御嶽山の噴火など自然災害が頻発している昨今。コンサート会場、ホールなどで観劇や音楽鑑賞中に大地震が発生したら。そんな設定で1月31日に市原市市民会館大ホールで催されたのが、避難訓練付きの『ものまねコンサート』だ。主催は(公財)市原市文化振興財団。
 同コンサートの合間、司会のお笑いコンビ『パッチワーク』が軽快なトークでネタを披露している最中に「ゴォーッ」と轟音が響いた。直後、地震が起きたことを知らせるアナウンスが流れ、公演は中断された。訓練であることは全員が承知しているものの、約250名の観客は真剣な面持ちで身をかがめ、頭を守る姿勢をとった。その後、火災発生を知らせるけたたましいサイレンの音が鳴り、緊張が走る。そして同財団職員の誘導のもと、屋外へ避難した。屋外では、同職員が災害発生と火災など二次災害の有無について大きな声で報告し、訓練は終了。観客は再びホールに戻ってコンサートを楽しんだ。
 震度5弱の地震の発生を想定して行われた今回の訓練について、市原市中央消防署の署長、市原与志雄さんは「要領よく行動できたと思います」と講評し、「実際に同規模の地震が起きると大きな揺れが生じ、火災が発生すれば煙が充満する。恐怖を覚える人も多いと思いますが、落ち着いて行動することが大切」と呼びかけた。
 今回のイベントの目的は、避難訓練だけではなくもちろんコンサートを楽しむこと。前半は、演歌歌手として活躍中の栗田けんじさんによるステージ。谷村新司のものまねで『チャンピオン』、ペ・ヨンジュンのものまねで『最初から今まで』などを披露した。また、持ち歌の『消防団の唄』を熱唱した際には、初めは恥じらいがあり、出演者からの声かけに消極的だった観客からも自然と手拍子が沸き起こった。後半は松田聖子のものまねでお馴染みの斉藤ルミ子さんが純白のドレスで登場。『赤いスイートピー』、『天使のウインク』などを歌った。
「大きいホールで災害が起きた際に、どのように動けばいいかが何となくわかった」、「コンサートもよかったし、こういった訓練をまた行ってほしい」と参加者。同財団の石川照明さんは「毎年2回、職員だけで訓練を行っていたが、観客を交えて行うのは初めて。職員が避難誘導をする訓練であると同時に、お客様に防災意識を高めてほしいと思い企画しました。実際には車椅子の方や目の不自由な方、足腰の悪い方などがいらっしゃって様々な気配りが必要となることがわかりました。現実に災害が起きたときに、この訓練を生かしたい」と話した。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. ◆一席 風化するそれを待つ人させぬ人  千葉市 瓦井宗龍 ・順風に慣れすぎ詐欺に騙される  大網白里市 …
  2.  今回は「映画音楽」特集の第1回。良い映画では必ず、音楽・主題歌が感動を与えてくれます。テレビCMでも使われる名曲もあり、何処かで聞いたこと…
  3.  9月11日(水)、香川県高松市の県民ホールで行われた『第59回全国神社総代会大会』にて、市原市姉崎在住の加藤庄司さんが、神社功労者表彰を受…
  4.  3つの窓が並ぶカウンターはケヤキの一枚板。絵本コーナーは小上がりになっていて、壁際の本棚の横には籐の椅子。マンガが並ぶ2階の屋根裏へは細長…
  5. 【写真】布施知子《二重折りのヘリックス》2018  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『かみがつくる宇宙―ミクロとマク…
  6. 【写真】「手作りの電飾」木村順一  恒例の市原市写真連盟展が11/1(金)~6(水)、夢ホール(市原市更級・スポーツデポ市…
  7.  銚子市は、漁業と醤油の街として有名ですが、2012年に銚子市全域が日本ジオパーク委員会から「銚子ジオパーク」として認定されました。ジオパー…
  8. 【写真】真光寺仏殿(左)。右側は薬師堂が建つ前、本尊を安置していた書院  市原市との市境にある緑豊かな里山、袖ケ浦市川原井…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  3つの窓が並ぶカウンターはケヤキの一枚板。絵本コーナーは小上がりになっていて、壁際の本棚の横には籐の椅子。マンガが並ぶ2階の屋根裏へは細長…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る