『森ラジオステーション』のある月崎を癒しスポットに

~森遊会の活動記録~

 小湊鉄道月崎駅の詰所小屋をアートで彩った作品『森ラジオステーション』については、本紙でも何度か紹介してきた。訪れた人はどれほどいるだろう。2014年に開催された、いちはらアート×ミックスで作家の木村崇人(きむらたかひと)さんが森と人をつなぐ場所として作り上げた『世界』は、今も地元の有志によって確かに守られ続けている。いや、進化しているといっても過言ではない。今回は、その世界の守り人たちである『森遊会(しんゆうかい)』のメンバーにスポットを当てた。
 代表の芹澤郁夫さんは、「会の設立は2014年6月。森ラジオステーションはアート×ミックスが開催された2カ月間では評価できない作品であり、このままにしておくのは勿体ないという地元の声から立ちあがりました。なので、主な活動内容は森ラジオステーション周辺の草刈りや清掃、山野草の手入れなどです」と説明する。現在、『森遊会』のメンバー22名のうち、14名は月崎町会の住人。月2回の定例会として掃除を重点的に行いながら、建物の維持管理をしている。「壁面に張った苔は垂直なのでずり落ちます。植物を上に伸ばすのは大変なんです」と話すのは、植物係の芹澤洋子さん。壁面にはなんと60種類前後の植物が植えてあり、一日花やエビネ、コンロソウなど珍しいものも少なくない。3月下旬から4月にかけての菜の花や桜の時期には、月崎駅周辺はかつてないほどの賑わいを見せた。
 「風通しのために、小屋はできる限り開けるようにしています。いちはらアート×ミックス2015では広島や長崎など遠方からも人が集まって大変嬉しかったです」と話す鈴木恒雄さんは陽気な性格で、取材中に小湊鉄道が『森ラジオステーション』の脇を走り抜けると「おーい!」と大きく笑顔で手を振った。車窓から見える『世界』と、『世界』から見える鉄道はそれぞれ味わいがあって、一瞬しか見えない顔を不思議な興奮で結んでくれる。「今まではこの地域で若者のカップルを見ることもなかったけれど、家族連れを含めて若い人が増えて嬉しいです。オシャレな服を見られたり、色んな人と会話ができたり。建物をただ守るだけでなく、やりがいにもなります」と、秋田幸子(あきたゆきこ)さんも続けた。実際、アート×ミックスをきっかけに月崎駅周辺を訪れる人は増加。小湊鉄道が間近で見られるという魅力もあって、最近は横浜や群馬など幅広い地域からの鉄道ファンも足を運ぶ場所になっている。「2、30人で横浜から来て、養老渓谷に宿泊する前に月崎で一度下車し、絵を描いている方たちもいましたね」と宗延嘉男さんが話すと、「インターネットで月崎駅を検索すると1日の平均利用者は5名と出るんですが、今はもう違いますよ」と芹澤郁夫さんは続けて笑う。『森ラジオステーション』目当ての観光客も多く、「ホッとする」という人ほど建物から出ないとか。窓からの射光で床面に虹ができる仕組みは特に好評で、時間によって現れる場所が変わるのもポイントの1つ。壁に飾られた写真の数々は、地元の人に提供されたものである。「会を設立して1年。訪れる方、地元の方を含め、森遊会の人々だけでなく、みんなが応援してくれるのを感じます。目に見えない勇気、心の支援をいただいているようで有難いです」と全員が頷き合う。訪れる人がほっと息をつき、外のベンチに座ってお弁当を食べたり、自分なりの時間を見つけてもらえることを願っている。だが、その願いはすでに建物内に置かれた『であい、ふれあい、おもいでノート』を見れば叶っているようにも思える。誰でも記入自由なそのノートには、幼い子から大学生だという女性たちまで様々な文字で埋められている。   「『森遊会』は、森ラジオステーションを含め地域周辺の管理もしていく予定です。ただ、無理をせず楽しく元気に、をモットーにしていますので『森遊会』だけでなく他の団体と協力することも必要だと思っています。整備をしてより綺麗になれば、さらに多くの方々の癒しスポットになれるでしょう」と芹澤郁夫さんは今後について語る。同所で写真展が開催されたり、コーヒーを飲みながら読書が楽しめる日も近いかもしれない。森遊会の年会費は千円、現在会員を募集している。

問合せ 芹澤さん
TEL 0436-96-2301

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