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志を同じくする仲間たち 家族を、地域を守る女性団員募集中
- 2015/8/7
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市原市消防団 予防啓発部
「まわれ右、前へ進め」、「止まれ」、「休め」。市原市消防局でリーダーの号令に従い整列や行進をして規律訓練に励むのは市原市消防団予防啓発部に所属する20代から60代までの女性たち。災害現場で冷静かつ早く確実に動くための練習。青い活動服を着てきびきびと動く女性たちの一人は「集団で動く訓練だが、一人ひとりがしっかり動かないと成り立たない」と話す。指導をする消防局の川口消防士長は「災害時や避難所、防災訓練などで女性リーダーがいると雰囲気が和らぐ。高齢者宅へ防火啓発訪問するときも安心して話しを聞いてもらえる」と女性消防団員への期待を口にした。
市原市の女性消防団は地域防災に女性の視点を生かすため18歳から54歳までの団員が公募され、平成14年に発足した。平成17年には2年に一度開かれる全国女性消防操法大会に千葉県代表として出場し、軽可搬ポンプの操作や規律訓練のスピードや正確さを競い優秀賞(5位)を獲得した。「消防署員や出場しない団員も熱心に協力し、結束が強まった。当時は体型がかわるほど練習した」と発足当初から活動する班長の小出敦子さん(54)は振り返る。平成24年には年齢上限がなくなり、退団した団員も再入団した。
平常時は災害や火災予防啓発の広報などを担う。各種の防災訓練や防火指導への協力、一人暮らしの高齢者宅や災害時要援護者を訪問し、住宅用火災警報器の設置などを呼びかける。応急手当指導員として救命措置や応急手当の技術も市民に教える。災害時は応急救護、情報収集、避難誘導、被災者の保護活動が主な任務だ。身分は非常勤公務員。
団員22名はそれぞれ公共施設の職員、ガスの検針員、栄養士やケアマネージャーなどの仕事、ボランティア活動をするかたわら活動し、月1回消防局で規律訓練後に定例会を開き、それぞれの報告やイベントの準備をする。5月に参加した市原看護専門学校での防災訓練については「煙を充満させた仮設テント入口で手伝いをした」、「消火器訓練に並ぶ学生を誘導した」と報告。各自、消防団の操法大会の受付や放送などで役割を担った感想を述べあった。その後、市内幼稚園で開く防火指導の準備やパネルシアターの練習に打ち込んだ。
「消防団、仕事、生活はひと続き、どれも欠かせない。自宅のある南総地区のイベント参加に指名されると地域に密着し役立っていると感じる」、「消防士があこがれだった。メンバーはリーダーシップが取れる人ばかり。志が同じ仲間と巡り合い最高。70までやりたい」と充実感を語る団員たち。
姉崎に住む伊藤雅子さん(53)は3回目の上級救命講習を受けたときに、入団を薦められた。引っ越し前の自宅は八幡宿駅に近く、毎週のように家の前で交通事故が起きていた。「救急車到着までに何かできることはないかと受講した。同居する101歳の義母の緊急事態にも備えたかった」という。家で大人が不在のとき、当時小学1年生の息子が大けがをしたこともあり、「夫、中学生から高校生の子ども4人の家族全員で救命講習を受けた」そうだ。三枝則子さん(53)の実家は新潟。中越地震で被災した母親を迎えに行ったとき、消防団員や自衛隊員のお世話になり、「以前から何かしたいと思っていた。夫も消防団員だったので夫の退団を機に入った」という。
部長の小出明美(60)さんは10年前、町会の集まりで紺地のスーツにオレンジ色のネクタイの制服をきて挨拶に来た女性団員を「カッコイイ」と思い入団。その後、職場で人が倒れる場面に遭遇し、救急車を呼ぶように周囲の人に指示をし、呼吸確認をする体験をした。「訓練していても緊急時には慌てる。AED(自動体外式除細動器)の使用法や心肺蘇生法をより多くの方に教えたい」と使命感に燃える。
近年、全国的に消防団員数が減るなか女性団員数は増え、地域の防災リーダーとしての活躍が期待されている。団員たちが楽しそうに遊びに行く相談していたので聞いてみると、何と目的地は東京臨海広域防災公園。災害に備える士気の高さに脱帽した。
問合せ 市原市消防局 消防団係
TEL 0436・22・8116