野菜のビーズジュズダマ

 近所を流れるU字溝にジュズダマが咲いていた。黒くなった実を摘んで糸を通し、ブレスレットを作った記憶がよみがえった。ジュズダマ(数珠玉)はイネ科ジュズダマ属の多年草。高さ12メートルで葉の長さ50センチ、幅4センチ。茎の上部の葉鞘から花序の枝を数個出し、先端には壺形の苞鞘(ほうしょう)がつく。
 イネ科の花は穎花(えいか)という小花(しょうか)が集った小穂(しょうすい)。ジュズダマの雄性小穂は苞鞘を貫ぬき、短い柄の先に総状になる。雌性小穂は苞鞘に包まれ、白い柱頭だけを外にだす。黄緑色の苞鞘は果期になると硬くなり、黒褐色から灰白色へと色を変え、ほうろう質のように輝く。円形で灰白色の実は苞鞘の中にある。
 ジュズダマの栽培種と考えられている食用のハトムギは、苞鞘がやわらかく指で押すだけで中の実を取り出せる。ジュズダマの生薬名はセンコク(川穀)でハトムギはヨクイニン。古代の和名ツノタマ(都之太末)がヨクイニンと混同されて、江戸時代にジュズタマという名に変わり区別されたという。
 水辺に群生するジュズダマは、水田が多い市原ではなじみの野草。住宅地に変貌した今でも水路に見られる。やがて暗渠になり都市化が進めば、姿を見ることがなくなる野草でもある。
 ジュズダマを摘みに行ってまでブレスレットを作る人は見かけないが、自然観察会でアドバイスすると参加者に喜ばれると聞く。苞鞘を貫く小穂を引き抜くだけで糸を通す穴ができるからだ。同じ自然のビーズ材料でも、宝石、貝殻、獣骨、角などは穴開け加工が難しい。
 野草を観察して不思議なものに出合えるのも市原の自然が豊かな証。この環境をいつまでも大切に残したい。

(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)

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