壁があるから前に進める!新しい自分に出会うチャンス

ジャズシンガー 三輪明子さん

 市原市在住の三輪明子さん(47)はジャズシンガー。20代前半の頃、会社の同期に誘われジャズライブに行き、伝説のシンガーと呼ばれるアニタオデイの声を聴いたことで、『自分もシンガーになる』と決心。「ジャズは揺れるようなリズムが特徴で、まさに目の前で世界がスイングしている感覚に陥ったんです」と三輪さんは当時を振り返るが、そこからの行動力は秀逸。
 どうやったらジャズシンガーになれるのかを考え、一人でジャズバーに通っては、シンガーに直接質問することもあった。「大抵の人は、音大出身だったり、アメリカで勉強していたり。でも、私が大学入学や留学するポジションにつくことは現実的ではなかったんです。カルチャースクールに行ってみても、どこか違和感を覚えて」という三輪さんは、2001年ジャズシンガーである伊藤君子さんとの出会いを果たした。伊藤さんのライブを聴いたことがあり、個人レッスンをお願いするなら彼女だと決めていたので、義理母の知り合いだと分かった時は運命的なものを感じた。すぐに伊藤さんに師事、レッスンを開始した。
 身体そのものが楽器であるジャズシンガーは、まず発声を鍛える必要がある。また、自由に歌えるジャズにも、コードやリズム、ハーモニーなどルールは存在する。「3歳の頃にはコタツの上でのりのりで歌っちゃうくらい歌が好きだったんです。なりたいものを聞かれると、歌手って答えていましたね」と笑うが、人前で歌うためにはそれなりの勉強を要した。そして2005年、都内のジャズクラブで開催されたオーディションに参加して合格。ステージでのライブ活動を開始した。
 彼女がどれだけ歌を愛しているかは、「音楽はとても原始的なもので、身体が勝手に反応するんです。言葉がうまれる前から存在していたなんて素敵じゃないですか」と幸せそうに語る姿から想像するに難くない。三輪さんが歌う上で心がけているのは、『丁寧さ』や『新鮮さ』、そして『健康的なこと』だという。音楽を聴くことで気分が高揚したり、慰めてもらっているような気持ちになったことがある人は多いはず。「健康的というのは、美しいものを美しいと認められることだと思うんです。当たり前の感情を無くすって、不健康ですよね。音楽を聴いて、普段は表に出さない部分を出してもいいと思える、そんな人の感情を揺さぶるような歌をうたいたいんです」と三輪さんは願う。
 これまで、10回ほどニューヨークへ歌を勉強しに行ったり、銀座や新宿、千葉市内などの広範囲で月に4、5回のライブをこなしながら『声』を磨いてきた。趣味で数年前に始めたバレエでは、身体のどこに力が入っているかチェックする。栄養学を学び、メイクや美容に高い関心をもつのも、すべて『ステージで歌う時』のため。その結果、2013年神戸で開催された『神戸ジャズボーカルクイーンコンテスト』で142人の中からファイナリストとして選出された。
 現在は、数名の生徒をもち自宅で個人レッスンを行っている。ジャズがメインだが『声がこもっていて嫌だ』、『病気で言葉が少し不自由になってしまった』という人たちのボイストレーニングもしている。「医療的なものではないけれど、分かる範囲で発声の方法など教えていけたら。活舌が良くなったと言ってくれると、誰かの役に立てていることを実感できて嬉しいです。腹式呼吸と違って、力を入れなくてもしっかりと声を出せる方法などありますので、女性限定になってしまいますが興味のある方はご連絡ください」と三輪さん。好奇心が旺盛で、目標に向かってまっすぐと突き進んでいく強さとは裏腹に、「私って、結構天然なんですよ。コンサート会場に着いてから衣装用の靴を忘れたことに気づいたこともあるんです。ちょうどテレビの撮影もあった日なので、足元は映さないようにしてもらったりして」とお茶目な一面も見せる。今後はCDアルバムを制作すること、もっと気軽にジャズを聴ける人を増やすことが目標。
 10月7日12時15分から開催の市原市役所ロビーコンサートに出演予定。ギターを演奏する小暮哲也さんとの絶妙なデュオが聴けることだろう。

問合せ 三輪さん
E-mail a-stella@opal.ocn.ne.jp

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