大震災を忘れずに いざという時の心構えを

 9月9日の救急の日、市津公民館で市津倶楽部の講座「忘れないで大震災」が開催された。講師は市原在住、岩手県大槌町出身の志村淳子さん。4年半前の東日本大震災で、津波に呑まれた故郷の手助けが少しでもしたいと、『大槌町の子どもたちを支える会』を主宰し、県内各地での写真展や資源回収などで支援金を集め、寄付を行っている。
 講座には35名が参加。スライドで、海や山の美しい自然、お祭りなど、かつての平和な大槌町を志村さんが紹介したあと、津波が街を押し流す数分間の映像、火災や被災のあとの写真など、報道されなかった街や人々の姿が映し出された。「津波が街を飲み込むまで、たった数分間のことでした。街全体が押し流され、火の海となり、私の姉の無事も確認できるまで4日かかりました。それらのショックから、私は突発性難聴になりました」。
 こうした街全体が巻き込まれるような大災害の場合、多数の人が居住確保困難となり、道路も遮断され、物資も不足、日常生活そのものが長期にわたって崩壊する。行政や自治会も犠牲者が出、生き残った人もどこに避難したのか分からず、外からの救助に対応できる現地組織は、人手がまったく足りず機能しなくなる。「混乱、悲嘆、喪失感など、被災者の心は大きな痛手を受けてしまいます。それでも諦めず災害の中で生き残り、皆で声をかけあい奮起することが、立ち直る一番の近道です。例えば、簡易トイレに使うビニール袋は何枚あっても足りません。自分の薬も持っていないと、その薬が来るかどうか分からず、持病の悪化につながります。普段から自助・共助を意識し備えれば、減災につながるのです。どうぞ震災を忘れず、今も頑張っている人たちにエールを送ってください。そして、自分たちの減災に備えて欲しい」と志村さん。参加者は「非常に貴重な話が聞けた。あらためて震災の状況が分かったし、自分も考えていかなければと痛感した」と真剣に語った。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】「手作りの電飾」木村順一  恒例の市原市写真連盟展が11/1(金)~6(水)、夢ホール(市原市更級・スポーツデポ市…
  2.  銚子市は、漁業と醤油の街として有名ですが、2012年に銚子市全域が日本ジオパーク委員会から「銚子ジオパーク」として認定されました。ジオパー…
  3. 【写真】真光寺仏殿(左)。右側は薬師堂が建つ前、本尊を安置していた書院  市原市との市境にある緑豊かな里山、袖ケ浦市川原井…
  4.  10/12(土)から12/15(日)まで開催される、市原歴史博物館(市原市能満)の特別展「旅するはにわ~房総の埴輪にみる地域間交流~」。千…
  5. 【写真】日展 彫刻 2023年  都内六本木の国立新美術館にて、11月1日(金)から24日(日)まで『第11回日展』が開催…
  6.  秋の里山では、山の幸クリの殻斗(いが)の棘が茶色く変わり始め目立つようになる。葉が覆い茂っている林では見分けにくい。花が咲く6月と殻斗が割…
  7. 【写真】Frederic Edward Weatherly『Peeps into Fairyland(妖精の国を覗き見る)』 …
  8. 【写真】お店の前で。『十五や』のTシャツを着た藤本さん(後列中央)と田頭さん(右隣)  緑豊かな市原市東国吉で、県道21号…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】真光寺仏殿(左)。右側は薬師堂が建つ前、本尊を安置していた書院  市原市との市境にある緑豊かな里山、袖ケ浦市川原井…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る