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季節のスケッチ
- 2015/11/20
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俳画と文 松下佳紀
人生を少年期、青年期、壮年期、老年期とし、春夏秋冬に分けたなら、老年期は冬に属するだろう。それは誰もが辿る身体の衰退、霜枯れから死に至る終幕の季節だからだ。自然界の四季は永遠にその循環を繰り返すが人生は一回限りである。思えば七十五年間こつこつと私は生きてきた。その割に人生の果実は乏しいなあと思う。こつこつには生真面目で不器用の意味もあるが、まさに私はそんなものだ。とりあえず今日まで好きな絵と俳句を続けられたことを多としよう、とここまで考えてはたと気づく。今どき七十五歳で人生の総決算はまだ早いと。先のことはわからないが、私にはもう少し生きる時間が残っているであろうから…。