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マンドリン独特の美しい響き、合奏する楽しみを
- 2016/1/14
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サークル『マンドリーノ・コスモス』
イタリア発祥の撥弦(はつげん)楽器、マンドリンの魅力は何といってもあの虫が羽をふるわせて出すような美しい音色だろう。弦を早い反復で弾き音を持続させるトレモロという奏法。ザワザワと押し寄せる波のようにも聞こえ、その表情は曲によって微妙に変化する。
マンドリンを中心に構成し、市原市内で活躍しているサークルがある。『マンドリーノ・コスモス』だ。発足したのは1995年4月。マンドリンとギターの愛好者が、音楽を通じ地域の人々と交流を図ることを目的として結成された。サークル名は市原市のシンボルとなっている花、コスモスが由来。メンバーは主婦やサラリーマン、定年退職を迎えた人など40から60代の約30名。経験者もいれば、同サークルに入って初めてマンドリンに触れたという人も。毎月第2・4日曜日の13時から17時まで国分寺公民館で合奏練習を行っている。熱心に取り組んでいる人が多く参加率がとても高いとのこと。
船橋市在住の田辺秀幸さんと、昨年からは同サークルのメンバーである稲場満寛さんが指揮をとっている。田辺さんは「音を楽しんでもらいたい」と定期演奏会を開始した15年前から指導にあたっているが「演奏会を経るごとに、どんどん上達しています。みんなで1つの音楽を作ろうという気合いが伝わってきますね」優しく柔和な口調で話す。合奏の合間には「ここはトレモロを使うのですか」、「2小節目のクレッシェンドはどんなふうに?」など、盛んに質問が飛ぶ。演奏者と指揮者が自由に気兼ねなく話せるアットホームで落ち着いた雰囲気。居心地が良いのか、入会したメンバーのほとんどが継続している。メンバーの約4分の1は創部当時から20年続いているベテラン奏者だ。
楽団の構成はマンドリン、マンドラ、マンドセロとギターにフルートが1名。マンドリンはイチジクの実を縦に割ったような形で、同じ音の高さの弦が2本ずつ、計8本の弦を有する。マンドラ、マンドセロと順に楽器が大きくなり、音は低くなる。オーケストラのバイオリン、ビオラ、チェロといったところだ。
演奏する曲目はステージによって趣向を変える。福祉施設への慰問では『丘を越えて』、『みかんの花咲く丘』など入所者がともに楽しめる曲を演奏。あるメンバーは「みなさん、自然と口ずさんで下さいます。何度か訪問していると、あのおばあちゃんは今年も元気だなとわかる。喜んでくれるし聴いてもらえてよかったといつも思います」と話す。年に1度の定期演奏会では、マンドリンのオリジナル曲を中心とした第1部と有名なポップスや映画音楽などを集めた第2部とに分けて披露。第1部には、市原市在住、『ハッピーいちはら』の作曲者でもある藤掛廣幸さんが作曲したものが必ず入っている。取材日に練習していたのは『スペイン組曲第2番』、『タンゴアルバム』、『北の国から』など。懐かしいような、哀愁に満ちた音色が次々と重なり生まれる深い響きは圧巻だ。『スペイン組曲』では、情熱的で壮観な印象を与えることも。「心が癒されます。マンドリンは演歌やスタジオジブリの音楽にも使われているし、日本人の情緒にぴったりと合いますね」と、マンドリン奏者の女性。サークルの代表を務める辻清司(きよし)さんはマンドセロ担当。入会したきっかけは12年前に同サークルの定期演奏会を聴きに行ったこと。大学で4年間続けてきたマンドセロ。「当時の思い出がよみがえり、また弾きたいと思いました」と話す。
仕事の合間の息抜きに、子育てが一段落したから、退職後の趣味として、様々な理由で集まったメンバー。「リフレッシュできますよ。マンドリンは大衆楽器。気負わず、みんなで合奏を楽しめるのがいい」。もちろん楽しむだけではない。「お客さんを感動させる音楽を作りたい」との思いから、個々の練習にも力を入れ緊張感をもって本番に臨む。それはベテランになっても変わらない。
一緒に楽しく合奏したい人募集。会費は月2千円。第15回定期演奏会は2月21日(日)、市原市市民会館大ホールにて。開演14時(開場13時30分)。入場無料。
問合せ 辻さん
TEL 0436・52・0489