嫌われ者!?でもユーモラスで愛くるしいカワウ

 ウというと鵜飼を連想する人が多いであろう。素潜りが上手で、潜って魚を丸呑みする。しかしながら、魚は船上で鵜匠により吐き出させられる。一生懸命さと健気なイメージのある水鳥だ。
 日本で観察できるウの多くはウミウとカワウである。市原近郊の海、川、池で見られるのは、ほとんどがカワウで、全長約80㎝、全体に褐色がかった黒色をしている。カワウはほぼ留鳥、年間でコロニーを形成するが、市原近郊で大きなコロニーというと山倉ダムが有名だ。ダムの中の陸地の林に約300羽が集まり、ダム周回の歩道から観察すると、木々がカワウの糞で真っ白に染め上げられているのがわかる。
 糞は異臭を放ち、貯水池を富栄養化させ、アオコなどの発生で更に異臭を放つ。人間にとっては糞害である。また、1日当たり300から500gの魚類を捕食する大食漢で、分布拡大と個体数の増加が、特にアユなどの内水面漁業において被害を大きくし、防除対策や駆除が各地で行われている。このように今は嫌われ者だが、糞に窒素とリンが多く含まれるため、かつては、人間がカワウのコロニーの下にムシロを敷き、カワウの糞を集めて肥料として利用していた時期もあった。千葉市の大巖寺にあった「鵜の森」が代表的な例であり、県の天然記念物に指定されていた。
 何かと物議を醸し出すカワウだが、木や杭の上に止まり、時折見せる羽を広げてパタパタさせる仕草は、ユーモラスで可愛い。水に潜るので撥水性が弱く羽が濡れやすい。そのままでは飛翔しにくいので乾かすのだ。また、繁殖時になると頭部と腰部に白い繁殖羽が現れ、白髪のおじいさんのようなやさしい風貌を見せてくれる。このように身近な存在のカワウだ。上手く付き合う方法を考えて行く必要がある。

(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

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