あの時の自分に「病院に行きなさい」と言いたい

茂原市がん予防市民公開講座 原千晶さん講演会

 出産を司る子宮には2種類のがんができる。子宮頸がんは20代、体がんは40代以上に発症する人が多い。1月17日、茂原市東部台文化会館にて茂原市がん予防市民公開講座『大切にしたい自分の体 2度の子宮がんを経験して』が開催された。講師はテレビ、ラジオなどで活躍するタレントの原千晶さん(41)。男女約300人を前に壮絶な病との戦いを語った。
 原さんは20歳のときクラリオンガールとして芸能界にデビューし、結婚や出産に憧れを持ちながらも忙しく仕事をこなしていた。しかし、生理は重く、毎月、腰に鉛を着けたような痛みがあったという。30歳近くなると、さらに痛みが強くなり、不正出血やおりものも増えた。若い女性にとって婦人科の敷居は高い。「年齢のせいかな」、「定期的に来ているから」と都合よく自分を安心させ、市販薬で痛みをごまかしていたそうだ。
 友人に勧められ、ようやくクリニックへ行ったときには子宮頚部に1センチほどのできものができていた。紹介された病院でお腹を切らずに患部をレーザーで切除することに。「安心してください」と流行語で聴衆を笑わせる。「手術後、すぐに体調が元に戻り、生理痛も軽くなりました」
 ところが、できものは術後に子宮頸がんだと判った。さらに、医師から伝えられたのは「予防のため子宮を取った方がよい」との判断。そのとき、30歳の原さんは人目もはばからず泣いたという。医師や家族に「命を優先して」と説得され、一度は決意した手術。「悪いところを取ったはずなのに子宮を取るなんて。子供を産みたい」と、あろうことか入院前日にキャンセルしてしまったのだ。かわりに定期的に検査を受け再発に備えることにしたが「がんに対する考えが甘かったのです」
 仕事に復帰し、毎月1回の検査で「大丈夫」と言われ何事もなく2年経った頃、「楽天的な私の問題点はここです」と客観的に話をする。なんと病院に行くのを止めてしまったのだ。それでもがん生存率が高くなる5年目を指折り数えて過ごした。ところが、その日を目前に、今まで経験したことのない痛みに襲われた。「ちょうどドラマの撮影も終わり、次の仕事がなかったのです。タレントとしてはどうかと思いますが」と冗談交じりに語る。
 3年ぶりに前回の手術をした主治医のもとに行くと、診断は進行がんだった。「さぼったあげくにひどい状態」。今思えば半年ほど前から経血の量が増え、水のようなおりものも出ていた。「あなたをまたテレビの向こう側にかえしてあげる」という主治医の言葉を信じ、「今回は子宮摘出の覚悟をしました」
 婦人科のなかでも難易度の高い手術は卵巣を2つ残し終わった。病名は子宮体部類内膜腺がんのステージⅢ。「のほほんとしていた間に、私の体は子宮を取れば終わりではなくなっていました」。リンパ節にも転移。抗がん剤も投与することになった。副作用で、吐き気やむくみ、不眠とともに、髪の毛はおろか全身の毛が抜けた。2010年、「一番つらかった」抗がん剤治療を終えた。現在も経過観察中。「原千晶がんばって生きています」
 その後立ち上げた女性のがん患者会『よつばの会』では友の死、子どもを残し亡くなる母親の無念、残された親の悲しみも知った。会員誰もが話すのは「もっと早く病院に行けば良かった」だという。「私は悪い例。病気は家族も巻き込む。自分の体は自分にしか守れません」
 2013年出版の著書『原千晶39歳 がんと私、明日の私、キレイな私』には詳細な経過とともに術後のケア、社会復帰などについても記されている。講演後、明るい笑顔をふりまく原さんの前にはサインを求める長蛇の列。3人の子どもを持つ40代の男性は「昨年がんの手術を受けた。身近に同年代の経験者がいないので、励まされた」、15歳の娘を連れた母親は「受験勉強より大切なことを教わった。娘と聞いてよかった」と感想を述べていた。
 平成元年に健康都市宣言をした茂原市。各種がん検診を実施して早期発見の大切さをPRし受診勧奨に努めている。会場の外では茂原市保健センター、婦人科ピアサポートグループ『オレンジ・リーフ』、城西国際大学看護学部などによるイベントも開かれた。

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