季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

 履き古した靴をふと見たら、石川啄木のことが思い浮かんだ。すり減った靴は貧乏の象徴だ。それは貧困の極みで早世した啄木像に重なり、さらに私自身の若い頃の貧乏生活に思いが及んだ▼私が貧乏だったのは、絵を描きたいばかりに他を顧みない結果で、パンの耳ばかりかじった日々もある。また、そんな時代でもあったが、革靴の踵に摩耗防止の金具を打ったことも覚えている。それは舗装路にカチカチと鳴った▼啄木は二十六年の生涯で多大な足跡を残したが、私は七十五年も生きながら大成には程遠い。啄木と私を比較するのも笑止だが、そんな私に、もし慰めがあるとすれば、今日まで大病もせず、借金もせずに生き長らえたことであろうか?

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