湖畔でワイワイ!芸術を体験して身体で感じる喜びを

 9月4日(日)、市原湖畔美術館で開催されたイベント『発泡屋台(はっぽうやたい)』と『糸電話伝達絵画』。企画発案をした開発好明さん(かいはつよしあき)は、「目的は家族で楽しく遊ぶこと。手作りの物に対してたくさんの人が集まってくれたので、やって良かったです。『糸電話伝達絵画』は簡単なことをわざと少し難しくするだけで、より面白くなることに気づいてくれれば嬉しいです」と話した。
 2人1組となり、数メートル空けてテーブルを設置。各テーブルで片方が自由に描いた絵を、糸電話を使って相手に伝えるゲーム。描くものの名前は伝えずに、主にかたちを伝えて、絵を描いてもらうのがポイント。大人と子ども問わず6組の家族が、それぞれ笑顔を交えながらも真剣に耳と口元に紙コップを当てる。糸をたるませず、引っ張りすぎず。
 耳元の紙コップは相手の方へ向ける、小さい声で伝えるなど様々な注意点を押さえながらのゲームは、次第にヒートアップしていき、「意外にも、すごく汗だくになっちゃった」と参加者は笑う。ラクダやブドウ、ネコなどほんの些細な絵でも、画用紙に描く場所や色など情報量は多い。「聞こえていたつもりだったけれど、細かい所までは難しかった」との声が多かった。
 一方、『発泡屋台』はその名の通り発泡スチロールで作られた屋台のこと。7月から9月にかけて全5回の発泡屋台が出品され、和菓子や新聞紙で作る小物、オリジナルのTシャツや手ぬぐいなどが販売された。取材日には3つの発泡屋台が登場し『無料の似顔絵体験』や『透明樹脂を使用した彫刻』、『羊毛フエルトバッジ体験』が楽しめた。
 似顔絵屋台をする稲垣あきらさんは、「今は都内在住ですが、地元市原の自然溢れる空気がとても落ち着き大好きなんです。地域の方とコミュニケーションをとることが目的なので、無料にしました」と1人15分ほどで描いていく。少し照れた様子で稲垣さんの前に座る女性は、「描いてもらうのは緊張しますね。でも、絵は会話がなくても繋がれる気がするので素敵ですよね」と満足そうに完成品を眺めていた。
 『羊毛フエルトバッジ体験』を行った都内で『てきとう工房』を営む板坂記代子さんは、「羊毛を重ねて石鹸水でこすってフェルト化させ、大きさを決めたら水で洗い、安全ピンを付けます。完全に乾かしたら完成で、服や鞄につけたら可愛いですよ。穴が開くこともありますが、それもまた魅力。思うようにいかなくて、適当くらいなのが魅力ですよ」と話しながら、絶えず訪れる人々の接客に勤しんだ。
 小さな手で懸命に羊毛を石鹸水でこする小1男児は、「電車だよ」と一緒に参加した母親と満足そうだった。紫にピンクの水玉を重ねていく女児の作業は細かく、「女の子らしいね」と板坂さん。参加者が「こんなに綺麗になるんですね。とても幻想的に見える」と言うのは、自分で作った世界で一つしかないという醍醐味も加わってのことだろう。
 開発さんが、「発泡スチロールは家電製品の配送時に多く使われますが、取り出してしまうとただのゴミになってしまうことがほとんど。せっかく凝った形に作られているのだから、何か別の使い道がないのかと思ったのがきっかけです」と話すように、美術館外には開発さんの作成した茶室を見立てて作った作品の姿も。普段ない体験を、みんなで楽しく味わえたのではないだろか。

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