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里山に佇む古民家私美術館ギャラリー治右衛門
- 2016/11/25
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いちはらクオードの森イルミ見物や養老渓谷の紅葉狩りも
市原市牛久から県道81号を養老渓谷方面に向かう途中、いちはらクオードの森入口手前右手に『ギャラリー治右衛門』の看板がある。今年4月にオープンした古民家私美術館だ。オーナーの山田家義さんが描いた風景画を中心とした油彩作品約50点を展示している。開館は毎週(金)・(土)・(日)10~16時。入館無料。定期的に作品の展示替えもする。
山田さんは家業の米作りと炭焼きの仕事をしていたが、25歳の時、加茂村役場に就職。のちに市と合併すると市役所に勤務し、58歳で早期退職した。「退職したら何をしようか色々考えましたよ。写真撮影とか。でも、昔から絵に関心があって、毎月のように東京や信州の美術館に出かけていたし、在職中も好きな旅をしながら、登山を楽しみスケッチし、油絵を描いたりもしていました。退職後、本格的に絵に取り組み20年。ギャラリー内にあるアトリエで描いた作品もたくさんになり、近所の人たちが観に来るようになりました。そして、美術館にして大勢の人に観てもらったらいいと勧められ、私もこの辺りは山の中で寂しいから何か人が訪れるような場をと思っていたので、屋号からギャラリー治右衛門と名付けた美術館をオープンすることにしました」と振り返る。
この古民家は山田さんの生まれ育った実家の母屋。二十歳の頃、茅葺きからトタン屋根に葺き替えられたとか。明治半ばの築というから、ゆうに100年は経っているだろう。36年前、道の反対側に家を建て替えて以来、物置として使われ農機具などを収納していた。しかし、20年ほど前に米作りをやめ農機具を処分してから、ギャラリーにすることになり、山田さんは奥様のタツさんと「掃除に追われた」と顔を見合わせる。
千葉県在住・在勤者の美術団体『平成美術会』や現在は退会したが、芸術団体『新構造社』にも所属し、東京都美術館や千葉県立美術館に出品し、東美賞はじめ幾つもの受賞経験をもつ山田さん。その作品の中には、今はコンクリート製になってしまったが、昭和40年代まで地元、柳川の渡しにあった木製の橋を描いたものも。「木の橋がなくなると聞き、急いで絵を描きに出かけたよ」。ふるさとの失われつつある風景を絵に残したいという山田さんの想いは作品からも伝わってくる。油彩の作品が展示されている中、奥様と廻った新上総国三十三観音霊場巡礼のスケッチ画や、10歳頃の記憶を蘇らせ描いた戦時下の地元のスケッチ画も展示されている。
県道から少し入ったところにあるギャラリー。上がり框の上に鎮座する素朴な風情の木彫りのおばあちゃん像と猫が来訪者を温かく迎えてくれる。これは山田さんが大好きだったおばあちゃんに似ているから、どうしても欲しいとカービングイベントのオークションで競り落としたそう。全国区の観光スポットである養老渓谷へ向かう道沿いにあるためか、市外・県外からの観光客も多いことが芳名帳を見るとよく分かる。すでに遠方からのリピーターもいる。
これから南市原、養老渓谷の紅葉もピークを迎える。ギャラリーから近いクオードの森のイルミネーションも点灯中。是非、晩秋の一日、懐かしさと優しさにあふれるギャラリーを訪ね、ほっこりとした気分に浸ってみては。
問合せ ギャラリー治右衛門
TEL 0436・96・0615
TEL 080・5454・2408
市原市田渕旧日竹394