鎌倉街道上総路を姉崎高校の生徒らが訪ねる

時代を超えて、我らの道しるべで進め

 いざ鎌倉!時代を生き抜く武士たちが、市原の地を馬に乗って駆け抜けて行った。そんな道が自分たちの住んでいる身近な場所にあることを知っているだろうか。県立姉崎高等学校の生徒約20名は、もっと地域の人に息づいている歴史があることを知ってもらおうと、昨夏に『鎌倉街道』の木製の道しるべを製作。沿道のゴルフ場やコンビニ店、ジャム店などに20本ほどを配布した。
 同校3年の宮本隆一さん(18)は、「鎌倉街道は市原市立野から袖ケ浦市下新田へ続く道で約13㎞あります。武士が鎌倉へ最短距離で行くため、山を削ったり掘ったりして造られました。今の高速道路のようなもので、物流のための道ではないので、馬が2頭通れれば十分であり、細い道も多いです」と説明する。
 現在、この鎌倉街道は文化庁の『歴史の道100選』に指定されていて、千葉県内で唯一選ばれた『中世から近世の古道』である。道しるべを製作した生徒たちは同校で選択科目の日本史研究を学んでおり、きっかけを作ったのは担当教諭の石川陽一さんだった。「2015年春に姉崎高校に赴任してきました。市原市の社会福祉協議会ボランティア『鎌倉街道を歩く会』で一緒に活動をしている県立東葛飾高校の教諭と話し、高校生同士の絆を深め、ふるさとを知る企画として実施したんです。上総国分尼寺資料館の見学後、鎌倉街道を歩きました」と話す石川さん。
 小学生の頃から歴史に興味を持ち、武士の偉人に関心が高い同校3年桑原虎太郎さん(18)が興奮したのは、立野から天羽田に向かう途中にある『御所覧塚』だとか。ここは鎌倉幕府成立前、頼朝が平家打倒のため上総国を通過した際に築かせた塚で、標高5m、直径12mのてっぺんから武士たちを閲兵したといわれて、?「自分が立っている場所に、数百年以上も昔に武士たちが生きていたのかと思うと感慨深かったです。周りに畑がたくさんあるのに、その塚はきちんと残されているんです」とちょっぴり大人びた口調で言いながら笑顔を見せた。だが、その塚の手前の三叉路に東西と南への道を表す『深城示道標』があるものの、思ったほど目に入らない。場所によっては、道しるべが脇に置かれたごみ箱の陰になっていたりもする。
 そこで2016年春、宮本さんは日本史研究授業の仲間と4人で再び鎌倉街道を歩き、学んだことや感じたことを校内で発表した。「夏休みにみんなが手伝ってくれて、道しるべを作りました。書道部や漫画研究部の子がいたのでとてもいい仕上がりです」と満足そうな宮本さん。書道部の賴思蓉さんも、「木板やのぼりは習字で失敗できないのですごく練習しました。でも、自分の書いたものがみんなの目に触れているなんて、とても嬉しいです」と話す。整った字図らの間に、リアルな馬の顔や武士のイラストが描かれ可愛らしいのは一目瞭然。道しるべは製作後、店や民家に渡して設置は委ねる形だが、予想外にも「欲しい」、「家の庭先に置きたい」という人まで現れているのだとか。
 また、市立光風台小学校出身の宮本さんは、卒業校の裏手にある道が鎌倉街道だとこの授業を通して知ることができたという。「細い道というのも昔の名残だと思いますが、こんなに身近だったんだと驚きました。活動自体も楽しかったですが、人前でプレゼンテーション式の発表をするという経験もできて、別の機会に生かせる力がつきました。面接の時の度胸とかがついたかも」と何度も頷いた。
 「発表は特に緊張するでしょうが、経験の回数を重ねることが大切です。社会に出て分かりやすく伝えるための力をつけて欲しいです。また、市原にある歴史的な遺産について授業では紹介しきれないので、こういう活動を通して地域に愛着を持ってくれたら」と石川さんも続ける。現在、立野ゴルフ倶楽部脇などに道しるべは置かれているが、受験シーズンを終えて卒業を迎えるまでに、さらに沿道の民家に設置を依頼していく予定。どこに置いてあるのか探すだけでもワクワクしてしまうのは、歴史に一歩近づいている気がするからだろうか。

問合せ 姉崎高校
TEL 0436・62・0601

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